日産が元トヨタ幹部を副社長に据える狙い トヨタ出身者の役員就任は初めて

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日産からアストンマーチンに転じたアンディ・パーマー氏

日産では昨年9月、ナンバー2格を構成していたアンディ・パーマー・チーフ・プランニング・オフィサー(CPLO)が英国の高級自動車メーカー、アストンマーチンのトップに転身。

その2カ月前には、高級車ブランド「インフィニティ」部門のトップが、米ゼネラル・モーターズ(GM)の高級車ブランド「キャデラック」部門のトップに転じるなど、にわかに幹部人材の流出が目立った。

英アストン・マーチンに転身したアンディ・パーマー氏の後継CPLOには、ルノー副社長だったフィリップ・クラン氏が昨年9月に就き、世界販売戦略を統括。それをサポートする形でマーケティングとセールスのそれぞれを常務執行役員が担当していた。

一方、現在7名いる副社長は、日本やアジア、北米といった各地域、製品や技術開発、生産などの各分野を担当しており、セールスとマーケティングの担当がいなかった。そこで今回、副社長を1人増やし、シラチ氏が世界販売戦略を担当する。常務執行役員の2人から情報を吸い上げ、クランCPLOをサポートする役割が期待されている。

2016年度に世界シェア8%へ

2011年に中期経営計画「日産パワー88」を発表し、世界シェア8%の目標を掲げた(撮影:鈴木紳平)

副社長ポストを新設してシラチ氏を迎え入れたことからも、さらなる拡大をもくろむゴーン社長の強い意志が見て取れる。日産は2011年に発表した中期経営計画の中で、2016年度に世界シェア8%、営業利益率8%という目標を掲げている(2014年度はそれぞれ、6.2%、5.8%)。

2014年度の世界販売台数は前期比2.5%増の531万台だった。今期は日産の主力市場の北米で5%増の192万台、中国は6.4%増の130万台を見込んでおり、全体で前年度の伸びを上回る4.4%増の555万台という計画を掲げている。グローバルのシェア拡大に向けて、元トヨタ幹部がどんな手腕を発揮できるか。副社長に就くシラチ氏はいきなり高い結果を求められそうだ。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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