インドネシアに登場「豪華個室夜行列車」の集客力 フルフラット座席の「寝台車」、乗車率は9割超

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縮小

改札前でほとんど立ち止まることなく、何も持たずに(理論上、KTPを所持していなくても乗車できる)ただ改札を通過するだけで全国の列車に乗れるというのは革新的である。これに慣れてしまうと、もう従来の乗車方法には後戻りできない。日本では駅窓口の縮小、そしてインバウンド観光客の増加で、みどりの窓口が阿鼻叫喚の大混雑になっており、ネット購入のチケットを発券することすらままならないと聞くが、日本の鉄道の情報技術社会への乗り遅れは死活問題のように思えてならない。

ただ、KTP番号のない外国人旅行者はこの顔認証システムを使うことができず、駅によっては一部の改札が顔認証専用改札になってしまっているので、乗車時には注意が必要である。

食事付き個室車の乗り心地は

ビマが6番線にいよいよ入線してきた。無機質なステンレス客車が連なる編成の一番前に、紺色に金のデザインを施した上品な客車が1両ある。これがコンパートメントスイート車両である。乗り込むと、専属のパーサーが部屋番号のところへ案内してくれる。すぐにウェルカムドリンクも提供された。ほどよく暗い通路はホテルの廊下のような雰囲気である。個室は引き戸式の自動ドアで、室内からロック可能だ。

コンパートメントスイート パーサー
ホームではパーサーが出迎える(筆者撮影)

座席はタッチパネル式の電動リクライニングシートで、効果のほどは不明だがマッサージ機能も付いている。最大の売りは、この座席は方向転換できることであろう。先代のラグジュリーは固定式で、半分の確率で進行方向と逆向きになってしまうという欠点があった。コンパートメントスイートの座席はガイドレールに載っており、この上を前後にスライドさせることで回転するスペースを確保している。座席を最大限に倒してフルフラットにする際もいったん座席の位置を前にスライドする必要がある。これも電動だが、これらの利用方法もパーサーが教えてくれる。

コンパートメントスイート フルフラット状態の座席
フルフラット状態にした座席(筆者撮影)
コンパートメントスイート フルフラット
寝台状態にした様子(筆者撮影)

スラバヤグブンから乗車したのは私を入れてわずか2人だったが、途中のジョグジャカルタからは満席という。やはり、スラバヤ―ジャカルタ間での他交通機関との競争力には難があるようだ。しかし、ジョグジャカルタ―スラバヤ間でも170万ルピア(約1万5600円)程度の料金となるため、KAIとしては収益性に問題はないだろう。

コンパートメントスイート パーサー
食事の注文を取りに来たパーサー(筆者撮影)
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