「精神の病」で4回休職した彼が婚活を経て得た人生 地方公務員52歳男性が出会った気のあう伴侶

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迷いを抱えたまま、健二さんを連れてベトナムに戻り、母親に会わせた。マイさんの父親は10年前に他界していて、姉と上の弟はすでに結婚して子どもがいる。

「母は健二さんを『いい人だ!』と何度も言っていました。彼がベトナム料理を何でも美味しそうに全部食べてくれたからです。食を大切にする人はいい人、というのが母の考えです」

違いがあることを前提に、共有できる価値観を探す

マイさんは姉にも結婚のことを相談した。しかし、結婚相談所の担当カウンセラーが「自分の生活のことだから自分で決めたほうがいい」と言っていたことを思い出し、最終的には自分で決断した。健二さんと一緒になる、と。

「完璧にサポートできるかはわかりませんが、深刻になり過ぎずに気楽に生活していこうと思いました。いま、毎日が楽しいです。私が作った料理を健二さんはいつも『美味しい!』と食べてくれます。インスタグラムを見て、煮込みとか牛スキなどの日本の料理も勉強中です」

共働きの2人。家賃と光熱費は健二さんの負担だが、その他の生活費は共通の財布から出している。健二さんが確実にできる家事は食器洗いとゴミ出しぐらいだ。それに関しても当初はマイさんから指導が入った。

「洗い方が優しすぎるんです。もっと強く洗ってちゃんと汚れを落としてほしい。食器のついでにシンクもキレイにすることも覚えてほしい」

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ベトナム人男性は家事もレディファーストもできると主張するマイさん。健二さんは気が利くとはいえないが、「お願いしたことはやってくれる。ワガママではない」とマイさんは評価している。優しいけれど不器用な兄と、賢くて目端の利く妹のような組み合わせの夫婦である。

国際結婚はお互いにさまざまな違いがあることを前提としている。だからこそ、共有できる価値観を探しつつ、相手の良い面を見ようとするのだろう。それはあらゆる結婚に必要な態度だと言える。

(取材協力:結婚相談所 ビーベリー)

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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