ボディは、前後長の長いルーフを持ったキャビンを後ろのほうまで伸ばすとともに、短いトランク部分を組み合わせたファストバックスタイルを採用。メルセデス・ベンツやBMW、アウディといったヨーロッパのセダンが、オーソドックスな3ボックススタイルなのとは対照的だ。
ファストバックスタイルなのはクラウンクロスオーバーも同じだが、クロスオーバーが全高1540mmであるのに対してセダンは1475mmと低く、ホイールベースもセダンが150mm長いので、たしかにデザイナーの狙いどおり、すっと長くて、堂々たる印象が強い。
ウインドシールド下端から側面のベルトライン(サイドウインドウ下端)を経由してリアウインドウにいたるまで、ぐるりと1つのラインで取り囲むようにデザインされているのも特徴的。同時に、リアのキャビンを後方で少し絞って、駆動輪を収めるリアフェンダーの張りだし感を強調している。
“今っぽいおもてなし感”で負けている
内装については、もう少し“今っぽいおもてなし感”があってもよかったのでは、と思う。
素材や部品の組み付けなどの質感は高く、走行中の静粛性も高い。ただし、「これがトヨタの考える新しい高級セダンなのか」と思わせてくれるものが、いまひとつ足りない。
ヘッドアップディスプレイの表示内容をとっても、たとえばヒョンデは死角にいるクルマの存在まで表示するなど、便利かつ新しいのに対して、クラウンは速度やナビの矢印程度であっさりしている。
ボルボやレンジローバー(どっちもSUVだけど)のようなミニマリズムか、メルセデス・ベンツやBMWのようなコテコテか。いくつも先例がある中で、トヨタ的な斬新なもてなし感をデザインでも打ち出してほしかったというのが、筆者の思いである。
個人的に好きなのは、HEVよりもFCEVのほうだ。でも、後席を使う機会が多いなら、水素タンクによって床が高めのFCEVよりも、HEVのほうが使いやすいかもしれない。価格は、HEVが730万円、FCEVは830万円。
この価格差ならば、FCEVを選んでみるのも(近隣の水素ステーション次第だが)おもしろいかもしれない。
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