新型「クラウンセダン」たった1つ足りない要素 HEV/FCEVとも乗り心地や操縦性が光る一方で…

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2008年の13代目以降は、ドイツ車志向というのか、足まわりが硬めになって「RS」(レーシングスポーツのイメージ)などというモデルも登場(RSは今もクロスオーバーには設定)。以降、15代目までは、スポーティなイメージが強くなっていた。

それが、今回の16代目クラウンセダンは一転。「かつてのクラウンを知る昭和世代から、“これがクラウンだよね”と言ってくれる味つけをめざしました」と、先の技術者は言う。

セダンもクロスオーバーと同様ファストバックスタイルを採用。独立したトランクがあるのもクラウンらしさの1つ(筆者撮影)
車内騒音などを考慮してトランクは独立式。独立したトランクがあるのもクラウンらしさの1つ(筆者撮影)

2022年7月にまずクラウンクロスオーバーが発表され、2023年10月にクラウンスポーツが追加されている。また、このあとクラウンエステートが登場する。そこにあって、クラウンセダンは、思い切りよく振り切ったキャラクターが確立できている。

この身のこなしは“猫足”だ

先に触れたように、このセッティングが実に“いい感じ”だ。HEVもFCEVも、ともに路面の凹凸をうまく吸収。足はよく動き、乗員に路面からの衝撃を伝えない。市街地でも高速でも、静粛性の高さとあいまって、とても快適だ。

特に驚くのは、路面の段差を超えるとき。一切のショックを感じさせず、“ふわり”と乗りこえていく。スプリングやダンパーだけなく、ラバーブッシュの使い方もうまいのだろう。

実際に街中を走ってみて、路面からのショックを感じない乗り心地に感心した(筆者撮影)
実際に街中を走ってみて、路面からのショックを感じない乗り心地に感心した(筆者撮影)

私は“猫足”という、かつて自動車メディアで使われた表現を思い出した。「猫みたいな身のこなし」を意味し、一部のフランス車やイギリス車で使われた表現だ。クラウンセダンは、まさに猫足の持ち主。

かといって、カーブを曲がるとき“腰がくだける”ように、車体が外側に大きくロールしていく姿勢は抑えられている。ここは、昭和世代が知るクラウンと違う点だ。

高速でややきつめのカーブを曲がっていくときでも、きちんと姿勢の制御ができている。電子制御で減衰力を調整する「AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンションシステム)」の貢献もあるだろう。

HEVのパワートレインは「マルチステージハイブリッドシステム」と名付けられていて、特徴は4段オートマチック変速機が追加されたことにある。

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