従来の3.5リッターV6エンジンから、2.5リッター4気筒にダウンサイジングしたことにともない、変速機を使って有効なトルクを得るというのが目的だ。
高いギアでは、高速での好燃費を実現。車重は2295kgもあるけれど、燃費は18km/L(WLTCモード)だ。一方、低いギアによって加速性を向上させている。
FCEVのほうは、走りの味がすばらしい。水素を解析して取り出したエレクトロンを使って電気を充電する燃料電池の仕組みは、MIRAIと基本的に同じだが、「よりスムーズに」を心がけて改良したというエンジニアの言葉にも納得する出来だ。
HEVも、エンジンの存在感を抑えており、よくできているのだけれど、FCEVはさらに頭打ち感がなく、高い速度までぐんぐん加速していく印象だ。サスペンションもステアリングもうまく連動して、「いいクルマだなぁ」と、ひたすら感心してしまった。
昭和のクラウンと違うのは、当時は考えられもしなかったパワートレインをはじめとする内容に応じて、電子制御技術をうまく組み合わせているところ。平成をふっとばして令和で、進化形を見せてくれた。
操縦安定性は、それらのおかげで意外なほど高く、クルマを“コントロールしている感”がしっかり味わえる。3000mmもの長いホイールベースは、後席空間に余裕を生み出している一方で、ドライバー席にもまた、座るべき価値を与えている。
サスペンションとステアリング、そして加減速のスピード感がうまくチューニングされているおかげで、ドライブしていてまことに気持ちがいい。
クラウンクロスオーバーやクラウンスポーツは、後輪操舵機構などを備えるが、セダンにはそうした“飛び道具”はない。オーソドックスな後輪駆動という成り立ちだが、それを高い完成度まで持っていっているのに感心させられる。
賛否あるデザインの意図
スタイリングはユニークだ。「ハンマーヘッド」とトヨタのデザイナーが呼ぶ、シグネチャーランプを収めた上下幅の狭いストリップ部分と、フロントグリルとエアダムとバンバーとを一体化した厚い部分(アンダープライオリティとトヨタでは呼称)との組み合わせ。クラウン4姉妹に共通するデザインテーマだ。
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