トップチームに「入れる人」「外れる人」の決定差 経営陣は何を基準に経営チームを決めるのか
さらに、そうした素質に加えて、次のような姿勢も重視した。「上司に反論ができて、自分の意見を述べることを恐れず、大胆に実行できる、そういった能力を発揮できる点も重視しました。上司やCEOの考えに対して、それが良くないと言える人物でなければならないのです。みなを集めたとき、私が期待しているのはそうした能力だと伝えてきました」。
とりわけ、ベストなCEOのほぼ全員が求めている素質は、短期的および長期的な物事のバランスをうまく取る能力だった。GMのメアリー・バーラは、次のように説明している。
「最初の頃は、『とにかく、この人には売って売って売りまくってもらおう。それで十分だ』などと思っていました。たしかに、あるレベルの役職までは、それでもいいかもしれません。しかし、最上位クラスの役職者の大半には、短期的な実践をすぐに結果につなげながらも、地平線を見渡して将来の計画も立てられる人が必要だということがわかってきたのです」
チームにおける「多様性」
チーム全体の構成も、検討すべき重要な点だ。資生堂の魚谷雅彦はトップチームをつくる際、半数を生え抜き組、残りの半数を中途入社組にした。
DSM(オランダのライフサイエンス・化学大手)のフェイケ・シーベスマは、自身がCEOに就任する前は、経営幹部たちは「1人のレディとたくさんのジェントルメン」と冗談交じりで称されていたと嘆いた。シーベスマは300名のリーダーの3割、そして取締役会とトップチームの半数を女性が占めるよう徹底した。
アホールド・デレーズのディック・ボーアは、メンバーの半数が経験ある社内の人間、もう半数が社外から招いた人間によるチームを築いた。インド最大の民間銀行ICICIの元CEOであるK・V・カマートは、「30代前半」の若き知性を自身のチームに増やそうと努めた。
ふさわしい素質と優れた心構えは、備えているに越したことはないというものではなく、チームのすべてのメンバーにとって極めて重要なものだ。ベストなCEOはそれらが備わっていない人物には何らかの対処をするが、その方法は迅速かつ公正だ。