かつや「旨すぎるとん汁」が秘めた幾重のこだわり 実はとん汁店との声も? 店舗仕込みのこだわり

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調理も店舗で行います。毎朝、大きな寸胴で100人前単位の仕込みを開始。肉や各種の野菜を順番に煮込んでいくそうです。その後、ピークタイムが過ぎたころにまた仕込み、1日当たり3~4回は繰り返すとのこと。

とん汁は月に100万食超、とん汁定食も30万食以上が注文されていることから、仕込みの量は想像を絶します。最初から入れると煮詰まってしまうことから、味噌を入れるタイミングはずらす工夫をしているとのこと。

一方で戸田さんは「じゃがいもや玉ねぎは溶けてしまうくらいがおいしいと考えています」と話します。実際に筆者は、戸田さんに話をうかがうまではじゃがいもが入っていたことに気付きませんでした。ある程度の形が残っていたほうがいい大根・人参は、入れる順番を工夫することで煮込み過ぎないようにしているそうです。

気になるのが、具材の偏りです。「他社と比較して、2倍くらいあるのではないか」(戸田さん)と語るほど具だくさんなことから、気を付けて注がないと「野菜ばかり」「肉ばかり」となってしまうのではないでしょうか。この点は、2段階に分けることで回避しています。まず穴が開いたレードルで、具材のバランスがよくなるように盛り付け。その後、汁のみをすくって再度盛りつけているそうです。

カツカツとん汁カツとん汁なら、年老いても通えそう

先述した通り、他チェーンとは違い、かつやには味噌汁がありません。過去にメニューへ追加することを考えたことはないのでしょうか。戸田さんは次のように答えました。

「とんかつ店でとん汁を出しているところは少ないですし、切れ端を使わずに専用の肉を使っているところはさらに希少です。かつやの強みを捨ててしまうことにもつながりますし、私が知る限り、検討したことは一度もありません」

ガッツリ系のメニューがある中で、とん汁は「一休み」したい人の受け皿にもなっているとか。例えば、まかないで毎日揚げ物を食べるわけにもいかず、店舗で働く人には人気のメニューになっています。

今回は、かつやのとん汁を扱いました。取材からは、確かにとんかつ・カツ丼店ではなく「とん汁店」と銘打っても違和感がないほどのこだわりがヒシヒシと伝わってきます。「権藤権藤雨権藤」ならぬ「カツカツとん汁カツとん汁」のローテーションを組めば、年を取っても月1~2回どころか、毎日通えるかもしれません。

チェーン店至高のいぶし銀メニューを尋ねて
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鬼頭 勇大 フリーライター・編集者

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きとう・ゆうだい / Yudai Kito

フリーライター・編集者。熱狂的カープファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。

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