メインの客層は、30~50代の男性。安価に定番のカツメニューをボリュームたっぷり食べられることが人気の秘密です。メニュー開発の際にも、このような点を意識するとともに、見た人が周りにシェアしたくなるようなインパクトあるものを意識しているとのこと。
リピーターが多いのも特徴です。一方で、40代以降は揚げ物を頻繁に食べる人も少なそうに感じますが、どのようにリピーターをつかんでいるのでしょうか。商品本部本部長の戸田鉄朗さんは次のように話します。
「私自身も40代を迎えて、毎日のように揚げ物を食べられないようになりました。同じような年齢の方も、揚げ物を食べるのは月に1~2回程度というケースが多いのではないでしょうか。そうした方に『揚げ物を食べるならかつやだよね』と足を運んでいただけるように、サイズやメニューを豊富にラインナップすることなどは意識しています」
リピーターが多いのは毎回、お会計時にもらえる100円割引券の影響も大きそうです。もともと安い価格がさらに100円も安くなることで、定期的に通うモチベーションにもなるでしょう。
過去には具材を1.5倍に 常に進化を続けるいぶし銀メニュー
かつやのとん汁は、創業当時からメニューに存在していました。とん汁定食はその後に、顧客からの要望を受けてレギュラーメニュー化。当初はヒレカツのみでしたが、2021年10月からロースカツもラインナップに加えました。
とん汁は、いくつかのリニューアルが加わって変化を続けています。「現状がベストだと考えず、より良いものをと考えながら変化を加えています」と戸田さんは話します。一方で、「具だくさん」「家庭で作るようなとん汁」という付加価値は変わらずに貫いてきました。5年以上前には、具材を1.5倍にする“太っ腹”なリニューアルも加えたそうです。
直近では、2年前に味噌をリニューアルしました。減塩志向に合わせるとともに、煮詰まって塩辛くなってしまうことを防ぐために塩分値を下げたものに変更。さらに、ダシの香りにも重点を置いてリニューアルしたといいます。
具材も、切り方やサイズを変えるなど細かく改良。ただ、ラインナップ自体は10年前ほどから変わっていません。現在の顔ぶれは豚肉・大根・人参・玉ねぎ・じゃがいも・こんにゃくと、薬味のネギです。
豚肉には、他のメニューの端切れなどを使わずに豚のこめかみ部分である「カシラ」を使っています。脂身も多いながら、旨みが強い部分で煮込むのに適していることから選んだそうです。
野菜は、全国に8つある協力企業から届くものを使用しています。驚くべきは、セントラルキッチンで加工するのではなく、協力企業に加工してもらっている点です。「地場の企業に頼ったほうが野菜の鮮度や配送の効率の面でメリットがあることや、地産地消の考えから、セントラルキッチンを使わない形にしています」と戸田さん。確かに、セントラルキッチンを設けて全国に点在する店舗へ配送するのではなく、地場の企業から提供を受けるほうが効率的かもしれません。
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