住民の「困った」が議員を動かす、政策DXの革新性 スマホで気軽に議員と交流、無党派層取り込む

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ところが、2000年代以降はライフスタイルの多様化に伴い、市民の組織化が難しくなった。都市部では特に顕著だ。中継役との関係が希薄化したため、市民側のニーズが現実の政治と切り離された。

結果的に「自治体や政府は何もやってくれない」という失望感が生まれ、さらに政治を遠ざける。選挙の投票率も低下し、負のスパイラルに陥った。廣田氏は市民や議員、役人など100人以上にヒアリングを繰り返し、こうした実情を把握。イシューズの創設につなげた。

「自分も以前は政治に関心がなく、選挙にも行っていなかった」と話す廣田氏は、こう訴える。「議員と有権者のマッチングを果たすためのインフラを、現代風に作り替えたのがイシューズ。普通の人たちが、生活をより良くするための手段として、気軽に政策を利用できるような世の中にしたいです」。

政治の広報活動支出は年間約2000億円

issuesは今年8月、日本ベンチャーキャピタルなどを引受先に第三者割当増資を実施し、約2億円を調達。人材の新規採用やマーケティング強化を進め、事業規模の拡大を図っている。これまでは地方議員に対象を絞っていたが、同月から国会議員やその候補者向けのサービスも始め、現在13人が利用している。

同社によると、日本の政治家や関連団体は1年あたり計約2000億円をチラシ作成や懇親会などの広報活動に支出している。議員とオンラインでの面談に持ち込んだ際の課金成約率は約5割という。2020年代後半には全国で市民500万人、議員1万人の登録者数を目指す。

政治活動の“空白層”をDX化で埋めることができるのか。連続起業家の手腕が問われている。

石川 陽一 東洋経済 記者

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いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa

1994年生まれ、石川県七尾市出身。2017年に早稲田大スポーツ科学部を卒業後、共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを取材した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。経済記者の道を歩み始める。著書に「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」2022年文藝春秋刊=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞。

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