住民の「困った」が議員を動かす、政策DXの革新性 スマホで気軽に議員と交流、無党派層取り込む

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坂本市議がこの問題を議会で取り上げたきっかけは、イシューズで目にした住民たちの声だった。2023年1月、目前に迫っていた統一地方選を前に有料会員登録。「知人に子供の弁当作りが大変だと聞いたな」と思い出し、トピックの1つで休み期間中の選択制弁当の是非を問うた。

反響は想像以上だった。4月ごろには計99件の賛成票が集まり、「睡眠時間が取れない」「毎日しんどい」といった切実な体験談が次々と寄せられた。数十件に及ぶ長文のメッセージに1つひとつ返信して対話を重ねるうちに、「この政策は需要がある」と確信できたという。

「自分が良いと思ってやることでも、どれぐらいの市民の役に立っているのか、本当のところは分からないこともあります。そういう意味で、たくさんの意見を集められると、政策を進めていく上での自信や使命感につながります。役所に『予算がない』と渋られたとしても、『どうしても必要なんだ』と説得する材料にもなります」(坂本市議)

坂本市議は当選後の5月、すでに同様の制度を導入済みの近隣自治体や、宅配弁当の業者にヒアリング。市の担当職員も同席させ、調査と根回しを進めた。8月には市内2カ所の学童保育で試験導入が実現。来年の夏休みは全域で実施できるよう、市側と協議を重ねている。

変わる議員の意識

東京都板橋区議会の元山よしゆき区議(自民党)は、現在5期目のベテランだ。ホームページやSNSなどを駆使した発信に注力している。

デジタルに目を向けた契機は、コロナ禍だった。自身のホームページ上で、感染者数などの情報発信を始めるとアクセス数が急上昇。経験したことのない認知度の広がりを感じた。

同時に「住民は対話を求めている」とも気づかされた。いつの間にか自分の支持者ばかりを見て、そのほかの大勢の区民には背を向けるようになっていたのではないか――。そんな反省から、今年の統一地方選前にイシューズへ登録。これまでに延べ1000人以上の住民とメッセージを交わしたという。元山区議はこう語る。

「有権者に意見を伺って区政に反映させていくのは、民主主義の在り方として健全だと思います。しかも、イシューズで出会える人たちは、あいさつ回りや集会といった普段の政治活動では絶対に遭遇しない層。それが魅力的です」

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