2024年前半は世界的株安と円高がやってきそうだ アメリカの株価は景気後退を反映した調整へ

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それでも人間は、なかなか贅沢は「わかっちゃいるけどやめられない」。お金がないのに贅沢したければ、借りるしかない。借りる方法は、消費者ローンもあるだろうし、クレジットカードで買い物する(とくにそれをリボ払いで返す)という形もある。こうした借り入れにより、最近の個人消費が「延命」してきたといえる。

しかし、四半期の延滞率(返済予定日から30日以上返済が遅れているローンなどの割合)は直近の7~9月期にかけて急上昇している。つまり、借り入れによる消費も限界に達してきていることが示唆されている。やはり、今後のアメリカの消費は悪化しそうだ。

(3)「コロナ禍後のトラウマ」による余剰雇用

雇用情勢の先行指標として、労働時間が注目される。労働者1人当たりの週間労働時間を前年比で見ると、2023年1月の「プラスマイナスゼロ」を除けば、2022年3月以降はずっと前年比マイナスが続いている。つまり、残業時間や休日出勤などが前年水準を下回り続けているわけだ。

これは、今の労働者数に比べて仕事量が少なすぎる(企業が余剰雇用を抱えている)ことを示している。従業員がみな暇そうにしていれば、経営者にとっては賃金コストが負担になるので、通常は遅れて雇用削減が進展する。その点で、労働時間は雇用情勢の先行指標だと考えられているわけだ。

ただ、一部IT大手企業などでは先行してリストラの報道が増えたし、派遣社員の削減も2022年3月以降進んではいるものの、例えば雇用統計における雇用者数は減ってはいない(前月比増加幅は縮小傾向)。

では、なぜ経営側は雇用削減を大胆に進めないのだろうか。それは、コロナ禍後の「トラウマ」のためだ、と聞いた。つまり、コロナショック直後は、大不況に陥るとの見通しから企業が大量の解雇を行った。しかし、景気の戻りが想定以上に急速で、企業は再度人員採用を進めようとしたが、なかなか人が集まらず、大変な苦労をした。

そのため、最近の経営は「ここで余剰人員を一気に解雇したら、万一景気が強くなった場合にまた採用で苦労する」と恐れ、多くの人員を抱えて我慢しているとの指摘だ。

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