最新科学に学ぶ「脳の鍛え方」意外と知らないコツ 実は経験的に「当たり前」に行ってきたことだった

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また、ギャンブルが止められず賭け金が高額になっていくのも、一度得た快楽は脳にとって想定内となって、新たな期待に向けたドーパミンは賭け金を上げていかない限り分泌されなくなるからです。

ドーパミンは本来「報酬系」として必要な行動に集中させますが、抽象的思考や論理的思考を担当し脳の司令塔として集中力をコントロールする前頭前皮質にも良い影響を与える効果があります。

そしてこのドーパミンは有酸素運動によって分泌量が増えることが明らかになっています。正確には、運動を終えた数分後に分泌量が上がり、数時間その状態が続くとされています。

私たちも、眠くて最初は嫌だった朝のジョギングでも、走り終えた後には爽快な気持ちになった経験があると思います。また、その後の会議や作業も普段より集中して行えた記憶もあるかもしれません。それらはドーパミンのおかげです。

それは、恐らく狩猟採集民族として、獲物を追って走っているときこそ、全集中力を発揮して、地理的な状況や獲物の動きを推測し、適切な判断をすることが切実に求められていたからだと思います。

脳は毎年0.5~1%程度縮んでいる

狩猟採集民族としての私たちの先祖は、獲物の群れを見つけた、食料となりうる果実やキノコ類の群生を見つけた、もしくは天敵と出くわしたなど、狩猟採集の運動中に重要な情報を発見すると、その位置や変化を脳の「座標系」モデルとともに記憶したのだと思います。

その座標系モデルの〝脳のGPS〞ともいうべき、空間の認知学習とその記憶を司るのは、海馬という部位です。

私たちの身体ハードウェアの仕組みは狩猟採集民族の頃と変わっていませんが、細胞単位では生成と解体が進んでいます。

脳の大きさは25歳頃がピークで、脳細胞は毎日10万個ずつ失われています。また、脳には1000億個の細胞がありますが、脳は毎年0.5~1%程度縮んでいます。

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