コンサル開業に失敗しても会社員に戻らない理由 年収が減っても見切りがつけられる人は少数派

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1年目の終わりに県の産業振興センターに専門家登録し、2年目から公的な業務が増えてきました。ただ、産業振興センターの報酬は1日働いて3万円と安く、2年目の収入は約200万円と伸び悩みました。

2年目が終わったところで、奥様から「そろそろ再就職したら」と要望されました。しかし、吉川さんは「少し時間がかかったが、仕事は順調に増えており、上り調子。もう少しやらせてほしい」と受け付けませんでした。

吉川さんが独立開業して、今年で6年が経ちます。その間、年収が400万円を超えたことは1度もありませんが、「もう少し」「もう1年」と奥様の要望をかわし、いまも売れないコンサルタントを続けています。

約束を反故にして貧乏生活を継続

家庭を持つ中高年男性がコンサルタントとして独立開業しようとすると、たいてい奥様から猛烈に反対されます。低収入の場合はもちろんですが、実家が資産家だったり、奥様が高収入だとしても、「そんな酔狂なことしなくても」と言われます。

奥様から猛反対されて、多くの人が独立開業を断念します。ただ、吉川さんのように、「2年やってみてダメだったら再就職し、会社員に戻るから」と約束し、反対を押し切る人もいます。

こうして背水の陣で挑戦するわけですが、競争の激しいコンサルタントの世界で受注を拡げるのは容易ではありません。多くの場合、年収600万円だった会社員が独立開業して2年経っても300万円にしか達しない、という状態になります。ビジネスとしては失敗です。

では、失敗したら、どうするのでしょうか。もちろん、「コンサルタントなんてもうこりごり」と、見切りをつけて再就職する人もいますが、筆者が見る限り、こういう諦めのいい人は少数派です。

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