しかし、保護者に入園申請の経過や保育所名などを改めて申告させたとして、ハローワークは適正な審査ができるのだろうか。各園の入園の難易度、立地、利用者の自宅との距離などから「落選狙い」を判定できるかというと、難しいだろう。
地域の保育事情を把握する自治体が判断するよりももっと困難になることが想像される。また、前述のように、家庭の側に単純ではない事情があった場合、理不尽な審査結果が子育て家庭を追い詰めるようなことにならないか懸念される。
問題解決のために制度を複雑にしていくのではなく、制度のひずみをもとから正してシンプルにする方法はないものだろうか。
地方分権改革有識者会議に提出された自治体の要望を見ると、制度を簡潔にする提案もある。現行の延長制度を撤廃し、2歳に達するまで給付金を支給可能としたり、保育所等を利用していない旨の証明をもって支給期間を延長したりなど、延長申請に不承諾通知を不要とする案が出されていた。
すでに実態は進んでいる
令和3年度雇用均等基本調査によれば、育児休業から復職した男女労働者のうち、取得期間が12カ月以上だった者はすでに40.9%に達している(産後休暇を考慮に入れるとおおむね1年+8週以上ということ)。つまり、育休延長制度を利用している者が4割以上いるということだ。
女性のみの集計では50.2%と半数を超えている。また、事業所別で見ると、育児休業を取れる最長期間を「2歳まで(法定どおり)」としているところは60.5%に及んでおり、2歳以上まで認めているところも11.1%ある。
この状況で、待機児童が解消したとして「育休は1歳まで」に戻すことができるものだろうか。子育て家庭の反応はどうなるだろう。育児休業の取得可能期間を2歳までとしてしまうことが最もシンプルで、子育て支援にもなる解決方法ではないだろうか。
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