実は、育休制度の取得期間は今も「1歳まで」が原則で、待機児童対策として延長制度がつくられたという経緯がある。待機児童数がどんどん増えていく中での苦肉の策としての育休延長制度であり、延長部分はあくまでも特例というわけだ。
しかし、子育て社員には「最長2歳まで」というキャッチフレーズのほうがしっかりインプットされ、希望すれば取れるものだと思っている人も少なくない。
もちろん、育休延長が待機児童救済策としてなくてはならない制度であることは、待機児童数が減少している今も変わりない。
保育園を考える親の会が「100都市保育力充実度チェック」で調査している都市部の自治体では、年度途中の入園は相変わらず難しい。一番入りやすいと言われる4月入園でも、2〜3割は落選するのが都市部の平均的な状況だ。
ここ数年、年度前半に0歳児クラスに空きがある保育所等も増えてきてはいるが、入りたくても入れない状況は、「待機児童ゼロ」を宣言する自治体でも続いている。
「落選狙い」は「不正利用」なのか?
その一方で、仮に入れそうな保育所等が近くにあっても、1歳過ぎまで育休を取ることができるのであれば延長したいと考えている人も増えている。
一刻も早く仕事に戻りたいと願う人もいれば、成長著しいわが子ともうしばらく一緒に過ごしたいと願う人もいるのは当然だ。子どもの発達や親の健康に不安がある場合もあるだろう。さまざまな家庭の事情があって育休延長を希望するケースもあるはずだ。
そのために、わざと入りにくい園を希望したとしても、「不正」とまで言われるほどのことではない。いや、保育方針や保育の質を重視して、この園だったら無理しても早く復帰して入園させるけれども、それ以外になるなら家庭で待機して希望園に入園できるチャンスを待ちたいという人もいていいだろう。
そういった願いは、わが子を愛する親の気持ちとして至極まっとうなものだ。
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