最低賃金、実は「会社員にも関係アリ」な"その中身" 月給から自分の時給までたどり着く計算方法
(2)平均1000円という違和感
政府は最低賃金1000円を目標に掲げ、全国平均30円から40円程度のハイペースで毎年改定を続け、今年平均1004円を達成しました。ただ、自身の住む地域でこの金額の時給をあまり見かけたことがなく、違和感を持った方も多いのではないでしょうか。
実は全国で1000円を超えているのは7都道府県だけで、平均額は1000円を下回っています。
これは、単純平均ではなく、加重平均という計算方法によって算出しているからです。
単純平均は、字のごとく単純に平均額を算出する方法。一方、加重平均とは、重さを考慮に加えた計算方法です。最低賃金を計算する場合は、「労働者の数」を考慮して計算されることになるため、全国労働者1人当たりの平均した最低賃金額ということになるのです。
例えば、A県が1050円で労働者100名、B県が900円で労働者50名だったケースでは、単純平均だと(1050円+900円)÷2=975円となりますが、加重平均だと(1050×100名+900×50名)÷150名=1000円という結果になります。つまり、最低賃金が高い都市部に労働者数も多いため、全国の労働者一人当たりの平均でみれば1000円を超えているわけです。
なお、地域別最低賃金は労働者が所属する会社、支社等の所在地に適用されます。労働者の住所地に対して適用されるわけではありません。例えば、千葉県に住んでいるCさんが、東京でアルバイトをする場合は、東京の最低賃金が適用されるわけです。
ちなみに、東京の店舗に所属しているCさんが、埼玉の店舗に数日間ヘルプで働く場合でも、あくまでもCさんの所属は東京の店舗になるため、東京の最低賃金が適用されることになります。
月給者は月平均所定労働時間を押さえよう
最低賃金は、全労働者に適用されます。月給者や日給者にも当然適用されます。ただ、最低賃金は時給で設定されているため、月給や日給をそれぞれ時給に計算し直す必要があります。
具体的には、①月給の場合は、月給÷月平均所定労働時間、②日給の場合は、日給÷所定労働時間で計算することになります。
なお月給とは、基本給だけでなく手当も含めた毎月支払われる賃金が対象になります。ただ、除外する手当も決まっており、①家族手当、②通勤手当、③精皆勤手当はそこから除外されます。ちなみに、残業代等の割増賃金や賞与、1カ月を超える期間ごとに支給されるイレギュラーな賃金ももちろん除外されます。
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