日本人は「超円安」の恐怖がわかっていない! 忍び寄る「通貨危機」への準備はできているのか

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アルゼンチンペソも、米ドルが3年で5.88倍になった。同じくNHKがアルゼンチンの過剰なインフレについて2023年9月28日に取り上げているが、両替商の言葉として「1ドル500ペソだったのが、朝起きたら750ペソになっていた」と報道している(おはBiz 5分で分かる経済トレンド)。

ちなみに、日本円は1ドル=109円47銭(2020年1月10日)から、33年振りの円安と言われる152円を突破したとしても、まだ1.38倍。通貨危機にはまだ余裕がある。

アジア、ロシア……、歴史から学ぶ通貨危機

直近の通貨危機以外にも経済の歴史を見ると、意外とその歴史は古く、かつ数十年おきに起きている。簡単に紹介しておこう。

〈アジア通貨危機〉

1997年7月にタイのバーツに起きた通貨の暴落がアジア全体に広がり、その後ロシアや中南米へと伝播したのが「アジア通貨危機」だ。90年代前半、相対的に安く評価されていた米ドルに連動していたアジア通貨だが、90年代後半になって米ドルが高くなり、高く評価されていたアジアの通貨がヘッジファンドなどに狙われた。簡単に、国別にその概要を紹介すると次のようになる。

●タイ……90年代前半に1ドル=25バーツ台だったのが、97年には1ドル=55バーツ近辺まで下落。97年7月以降、バーツの価値は対ドルで2分の1まで下落。通貨危機直後の消費者物価指数は9.2%に上昇、98年の実質経済成長率もマイナス10.5%に落ち込む(物価指数と成長率は、「季刊 国際貿易と投資 Autumn 2003年、『通貨危機後のアジア経済』」より、以下同)ことになる。

●マレーシア……97年7月以降、通貨「リンギット」は1ドル=2.5リンギット程度から97年の末には3.89リンギット、98年には4.5リンギット近くまで下落。ドルに対して50%程度の減価となり、98年のインフレ率は8.5%に上昇。GDPはマイナス7.4%に下落する。

●インドネシア……通貨「ルピア」は、1ドル=2300ルピア台だったレートは98年1月は1ドル=9662.50ルピアまで下落。IMF(国際通貨基金)の金融支援を受け入れたものの1ドル=1万4000ルピア台まで大暴落。対ドルに対して5分の1となり、当時のスハルト大統領が辞職する政権交代が起きている。98年の実質経済成長率はマイナス13.1%、インフレ率も75.3%と凄まじい物価上昇に襲われる。

●韓国……アジア通貨危機の中で最も大きな影響を受けたのが韓国の「ウォン」だ。97年6月まで1ドル=850ウォン程度だったのが97年12月末は1ドル=1695ウォンまで下落。IMFによって経常収支の改善や財政収支の黒字化など様々な面で要求された。韓国ではIMF危機と呼ばれており、朝鮮戦争以来、最大の国難と評価されている。98年の実質経済成長率はマイナス6.7%、インフレ率も5.1%の上昇を記録している。

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