パナソニック「自動車部品切り出し」で鳴った号砲 社長肝煎りの事業ポートフォリオ改革が本格化
従業員数23万超、524のグループ会社を抱えるグループにとって、”号砲”となるM&A(買収・合併)が明らかになった。
パナソニックホールディングス(HD)は11月17日、傘下の自動車部品会社の株式の過半を売却する予定だと発表した。
売却するのはパナソニックオートモーティブシステムズ(PAS)。PASはメーターなどのコックピットシステムやカーナビ、ETC車載器、サイドミラー、電気自動車(EV)用の車載充電器など自動車関連の幅広い機器や部品を手がけている。将来的にはPASの上場も視野に入れる。
売却先はアメリカの資産運用会社、アポロ・グローバル・マネジメントが投資助言するファンド。現時点では基本合意を締結した段階で、売却額や時期については今後議論し、2024年3月末までに最終的な契約の締結を目指す。
「ギアを上げる年」と表明していた
パナソニックグループ全体にとってPASの売却は、まさに”号砲“だ。2021年以降準備を進めてきた事業ポートフォリオ改革が本格的に始まることを意味する。
パナソニックHDの楠見雄規社長は、就任当初の2021年5月に「2年間は競争力強化に集中する」と宣言。現場のムダをなくし、効率性を高めるよう指示を飛ばした。売却方針を明らかにしたPASの敦賀工場(福井県)を始め、ノートパソコン「レッツノート」など複数の現場で実際に生産性が上がった。
そして、就任から2年が過ぎた今年5月。経営戦略説明会で「ギアを上げる年にする」と述べ、2023年度内にも事業ポートフォリオの見直しに着手すると明言した。
事業を見極める際のポイントは、グループ共通の価値観と事業ごとの戦略が整合するかどうか、事業そのものの成長性や収益性がどの程度高められそうかの2つとなる。
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