「バイトアプリで出禁」諦めない49歳男性の戦い 飲食店では契約外の「ツタの掃除」を命じられた

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こうした行き違いが影響したのか定かではないが、店長をはじめとしたスタッフたちのサトルさんへの態度は終始、高圧的で無礼だった。配達の予約時刻が迫っている商品があったので、サトルさんが「僕が行きましょうか」と声をかけると「口、出さないでもらえますか」ときつい口調で遮られたり、配達した商品が汁漏れしていたことを伝えると「そういう報告いらないから」と突き放されたりしたという。

揚げ句、帰りがけに聞こえてきたのが「今日のシェアフルは使えない」である。

系列店に応募しても不採用が続いた

トラブルは翌日以降も続く。サトルさんはもっぱらフードデリバリーの仕事に就いていたが、この日を境に問題のファミレスの系列店舗に応募しても採用されなくなってしまったのだ。実際、当日の稼働をめぐっては店舗側から低評価である「赤点レビュー」を付けられた。連続した不採用は、一連のトラブルが原因としか思えないという。

サトルさんによると、特定の企業からの求人が途絶えたり、不採用が続いたりすることを“出禁”という。常習的な遅刻やドタキャンの結果という人もいれば、理不尽な理由で排除される人もいるらしい。サトルさん自身は、「赤点レビュー」も出禁も初めての経験。問題は、赤点や出禁に遭わないよう契約以外の命令や無理な要求にも従わざるをえない人たちが少なくないことだという。

“出禁”問題を訴えるにあたり読み込んださまざまな資料。アプリ運営会社や企業だけでなく「アプリ利用者も(さまざまな権利を有する)労働者として自覚が足りない」とサトルさんは指摘する(筆者撮影)

サトルさんは以前、「タイミー」というバイトアプリを利用してファストフード店で働いたとき、店舗の外壁にはびこったツタの掃除をさせられた。バックヤードの棚に「タイミーさんが来たら頼んで」というメモが張られており、ほどなくして日雇いバイトとは別の高校生のアルバイトからツタを取り除くよう指示された。サトルさんが軍手や鎌は貸してもらえるのかと尋ねると、「ありませんけど?」と怪訝な顔をされたという。店舗の外壁は全長数十メートル。結局、5時間の勤務時間のうち3時間をツタ取りに費やした。

「出禁が心配で断れない。もはや強制労働ですよ。自分がツタ掃除をしたせいで、タイミーからくる人は契約以外のこともやってくれると思われてしまったのではないか。そう考えると、申し訳ない気持ちにもなりました」

普段は配達以外の仕事はできるだけ断るようにしているが、これまでもトイレ掃除や皿洗い、食器の上げ下げといった契約外の業務に応じてしまったことがあるという。

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