COP28の焦点「グローバル・ストックテイク」とは パリ協定の目指すべき姿への軌道修正の機会

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GSTの評価は世界全体を対象としているので、個々の国に直接ガイダンスを与えることはできない。しかし、セクターごとに具体的な対策を提示することができれば、各国の判断で対策を採用し、実施することができる。

複数の国からは、再生可能エネルギー容量の3倍増やエネルギー効率の改善率の倍増といった、セクターにおける世界全体での目標を設定すべきといった提案も出ている。

一方で、特定のセクターに焦点を当てた議論を受け入れない立場を示す国や、数値目標の設定に難色を示す国もあり、目標が設定されるかどうか見通しは立っていない。

また、石炭火力発電については、COP26で合意された「排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的削減」という文言を「段階的廃止」に強める提案がある。

さらに、対策が講じられていない化石燃料を段階的に廃止する提案も出されているが、どちらも十分な議論はなされていない。

昨年のCOP27ではまったく進展が見られなかったエネルギー部門における取り組み強化について、COP28で一歩踏み込んだ合意がなされるのかは不透明である。

見えぬ議長国UAEのリーダーシップ

COP28議長国のUAEには各国の意見の隔たりを埋めるための打開策を示すことが求められるが、現時点ではリーダーシップを十分に発揮しているとは言いがたい。

過去2年のCOP議長国であるイギリスとエジプトと比較すると、UAEの置かれている状況は少し異なる。

冒頭で述べたように、2021年にイギリスのグラスゴーで開催されたCOP26では、平均気温上昇を2度以下に保つというパリ協定の気温目標が事実上1.5度に強化された。また、排出削減対策を講じていない石炭火力発電の段階的削減と非効率的な化石燃料補助金の段階的廃止に対する取り組みを加速することが合意された。

2022年にエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP27では、気候変動の影響による「損失と損害」に対応するための基金を新たに設立するという歴史的な合意に至った。

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