日本株は、むごいことになる恐れがある 無理やり上昇した後、高まる「急落リスク」

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こうした全体的な相場のひずみだけではなく、物色も異様だ。もちろん、個別にはきちんと裏付けとなる好材料があって買われている銘柄もある。だが、たとえば電力株の上昇が著しい。「原発再稼働の可能性が高まったから」、などの声もあるが、今さらとってつけたような材料だ。「買う理由がないのに、株価が出遅れていただけで買われている、おかしい」と素直に警戒すべきだろう。

あまりに都合の良い解釈が多すぎないか?

また、銀行株の上昇も目立った。こちらも「内需の持ち直しで貸し出しが伸びそうだ」、といったような材料はひねり出せなくはないだろうが、腑に落ちない。

実は先日、ある外資系証券のレポートが市場で話題になっていた。銀行株に限らず、このところ企業経営に対する政府や投資家の目が厳しくなっており、不稼働資産を抱えて休眠するような経営は許されなくなっている。そのため、まず使い道の乏しい現金を、増配や自社株買い戻しの形で株主還元する企業が増えてきている。

この延長線上では、やはり不稼働資産である持ち合い株も、売却の方向に向かうだろう。そして売却により得た資金を、自社株の買戻しで株主に返す企業も増えるだろう。

そこまではよい。しかし前述の外資系証券のレポートでは、銀行が売る持ち合い株は、「銀行等保有株式取得機構」という政府系機関が買い取るため、市場に株価押し下げ圧力が生じず、銀行が行なう自社株買戻しの効果だけが残るという。

そもそも「銀行が持ち合い株を売却すれば」「その株を機構が買い取るとしたら」「売却で得た資金を銀行が自社株買戻しに使えば」といった、「たられば」のオンパレードだし、売り圧力は全部消えて買いによる株価押し上げ要因だけが残るという都合の良過ぎる主張である。

このように、電力株や銀行株の舞い踊りを見れば、「これはおかしい、いずれ株価は下げるだろう」と考えるのが普通だろう。

個人投資家は幸いにして、警戒的に売りで臨んでいるようだ。しかし足元買いの主体となっている外国人投資家からは、しきりに「日本の個人投資家はいつ買うのだ」といった、じれた声が聞こえてくる。邪推すれば、「株価を吊り上げて、日本の個人投資家に買い出動させよう」という狙いだろうか。もし不幸にして、待ちきれなくなった個人投資家が買いに出てワナにはまれば、その後の株価下落局面は惨たらしいものとなろう。

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