10年ぶり刷新!セブン「サンドイッチ」の凄み 「丸刃スライサー」で食感が変わった

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近年の小麦をはじめとする原料価の高騰に対しても、各方面の担当者が頭を寄せ合い、コストを見直すなどの工夫を行っている。

「輸入原材料の値上げで厳しい状況は、どこも同じです。商品価格に添加するわけにはいきません。コストを下げながら、さらに商品価値を高めるための努力を続けて行かねばなりません」(佐藤さん)。

このようにして開発されたオリジナル商品は、全国161の専用工場(セブン-イレブンの商品専用の工場)、チルド物流の仕組みなどのインフラによって、一定した品質のもと、消費者の手に渡る。

例えば、保存料・着色料無添加のサンドイッチ、おにぎり、お弁当などを実現できているのも、工場から店舗への物流に至るまで、温度管理が徹底されているゆえである。サンドイッチやサラダなどのチルド商品については、5℃前後の低温度帯で管理されるほか、1日に3回の配送を行うことで新鮮さをキープする工夫をしている。

1つのエリア内に店舗を集中させて出店する「ドミナント方式」の効果も、認知度が高まるということだけではない。大きなメリットの一つが、配送センターから各店舗への物流効率が高まり、商品がより新鮮な状態で届くということだ。

コンビニとしての大きな課題は、変化するお客のニーズに対応していくことだ。例えば来店客の傾向としては、年々、年齢が高まっていること、女性客の増加などが挙げられる。取り組みの一つとしては、年齢層や性別に特化した商品の開発も行われているという。

目指すは「誰が食べてもおいしい」

「ただ、サンドイッチは主力商品であり、誰もが購入する基本の商品です。ですから『誰が食べてもおいしい』ことが大切です。今回、大規模なリニューアルを行いましたが、これをゴールではなく、スタート地点として『どこにも負けない味』を目指して行きます」(佐藤さん)。

セブン-イレブン全店の年間売上高は3兆7812億円。1974年の第1号店出店から拡大を続けている。店舗数の増加に比例して売り上げも伸びる理屈だが、社としては当然、1店舗あたりの売り上げを伸ばすことが望ましいわけだ。

平均日販を見てみると66.4万円で、2番目に高いA社の54.2万円に比べても10万円以上の差がある(同社の公表データより)。1日平均の客数や客単価についても他社より高く、数字の上でも「ナンバー1」であることが見て取れる。その高い評価には、お客目線で「どこにも負けない商品」を目指す「チームの力」の貢献もあるのだろう。
 

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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