TV「愛知あたりまえワールド」が映し出す県民性 地元を意識しない愛知県民を目覚めさせる?
それを具現化したのが2021年9月に放映された特番『県民大調査!愛知“あたりまえ”でSHOW~地元の常識がひっくり返る!?~』だった。愛知県民があたりまえだと思っていることを検証するというもの。
例えば、「愛知県岡崎市出身の徳川家康を知らない人はいない」という、まさかと思う仮説を立証するために100人に街頭インタビューしたり、地域によって味噌煮込みうどんの麺の硬さや具材、味噌の濃さに違いがあるのかを調べたりした。
MCそれぞれの役回りが絶妙
「愛知“あたりまえ”でSHOW」は好評を博し、レギュラー番組として生まれ変わったのが「愛知あたりまえワールド」である。いつも番組を見ていて感心するのは、番組名にもその名を冠しているメインMCの千原ジュニアとサブMCで愛知県出身の大久保佳代子、須田亜香里のそれぞれの役回り。これは藤城さん自身の体験にも通じているところがあるという。
「関西で過ごした学生時代、名古屋へ帰省したときに買った味噌煮込みうどんを友人たちに振る舞ったところ、『味が濃すぎる!』と、なんと水を加えて味を薄めて食べたんです。名古屋が嫌いで関西の大学へ行ったのに、そのときは腹が立ちましたね」(藤城さん)
水を加えた友人が千原ジュニアの立ち位置で、大久保佳代子と須田亜香里が藤城さんのポジションということになるのだろう。つまり、千原ジュニアが「それ、あたりまえやないで!」とツッコミを入れるたびに大久保佳代子と須田亜香里、そして、テレビの前の視聴者に自分が愛知県民であることを否が応でも自覚してしまうのだ。
「愛知あたりまえワールド」でもっとも重要で、もっとも大変なのは、やはりネタ探し。視聴者からの投稿の他、総勢40名のスタッフがそれぞれ持ち寄ったネタを基に会議で話し合って決める。会議に20本のネタが出されたとしても、通るのはわずか5、6本とかなりハードルは高い。
仮にウケを狙いにいったとしても千原ジュニアはつまらないものにオーバーリアクションするような芸人ではない。逆に番組スタッフの意図を見透かされてしまうため、ネタの決定から取材、編集まで一切手抜きはできない。だからこそ、テレビを見ている視聴者の心に刺さるのだ。
最後に、藤城さんが考える愛知県民の気質について聞いてみた。
「地元意識が低いように見えるのは、地元愛を語るのは恥ずかしいと思っているのでは。表立って言わないだけで、私も含めて地元のことが好きな人は多いと思いますよ」(藤城さん)とのこと。たしかに全国放送のテレビ番組などでやや盛り気味に地元愛を語る愛知県出身の芸能人や、名古屋弁丸出しで話す河村たかし名古屋市長の姿を見たりすると、こっちが恥ずかしくなる。筆者を含めて愛知県民は面倒くさいのである。
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