太陽光発電に突然参入、気炎を上げるソフトバンク
ソフトバンクの孫正義社長が電力事業への参入をブチ上げた。5月25日、太陽光発電などの新エネルギー事業に参入すると発表。地方自治体から遊休地を借り受け、当初は発電容量2万キロワットクラスのメガソーラー(大規模太陽光発電施設)を全国に十数カ所立ち上げる。
記者会見で孫社長は「自然エネルギー普及のきっかけとなるモデルケースを作りたい」と説明。事業として成功例を示せば新規参入が増え、2020年までに日本全体で1億キロワットの発電容量達成も可能、と壮大な青写真を描く。
熱を上げるのは孫社長だけではない。長野、静岡、神奈川各県など29の自治体が参加を表明(6月2日時点)。「エネルギーの自給ができる自治体を目指したい」(長野県の阿部守一知事)と意気込む。
わずか2カ月で決断
孫社長が新エネルギーに熱を上げ始めたのは、東京電力福島第一原子力発電所の事故後だ。ツイッター上で、反原発のつぶやきをにわかに連発し始めたほか、新エネを推進する専門家たちと意見交換し、「原発なしに日本の電力は成り立たないと思っていたが、そうじゃないとわかった。日本の全エネルギーの2割を新エネで賄うことも不可能ではない」と“開眼”した。
4月20日には、ポケットマネーから10億円を投じ、新エネルギー研究の財団立ち上げを発表。5月に入ると各都道府県の知事らに協力を呼びかけ、ソフトバンクとしても定款変更し、事業を行う。
自治体にとってもメリットは大きい。提供するのは休耕田など活用されていない土地だけで、設備などの費用は原則ソフトバンクが負担。発電した電力の売却によって得られる収入の一部が、自治体に還元される。