「話が長い人」が無意識にやらかしている失態 伝わるかどうかは「話す前」に決まっている
もしかしたら、「部長にトラブル処理を頼むなんて心証悪いかな。でも誰も解決できそうもないし……」という逡巡があり、「状況を並べ立てれば察してくれるかも?」と考えているのかもしれません。
ですが、ほとんどの人間は明確に要請をしないと動けません。
「どうすればいいでしょう」という意見も、素直にそう思ったのも理解はできますが、仕事の場においては必ず、「自分自身の仮説」が大切です。
「どうすべきか」「どうしてほしいのか」を考えるクセをつけましょう。
正解であるBは、「納品されるべき商品が届いていないというトラブルの相談である」という全体像をまずひと言で伝えています。このことで、部長は現状で何が起こっているのかを把握することができます。
そのうえで、「誰も把握していないので、部門責任者である部長に対応してほしい」と、はっきりと依頼しています。
トラブルの全体像を明確に伝えることで、聞き手である部長に何をしてほしいのかが明確になりました。
これならば、聞き手は「どうするか」を決めることができます。
人に何かを伝えるときには、物事を全体像でとらえて、それから具体に落としていくクセをつけ、相手を迷わせないように「ぼやけた全体像を捨てる」ようにしてください。
目的地を明確化して迷子を生まない
この方法をより明確化したのがじつは漫才です。
漫才を見ていると、新人の芸人さんが「名前だけでも覚えて帰ってください」などと前フリのひと言を入れることがあります。
これは、「この先にいろいろネタをやるけど、今日のゴールは名前を覚えてもらうことですよ」と、目的地を先に提示して誘導しているわけです。
仏教でも目的地の明確化がいかに重要かを示した寓話があります。
「群盲象を評す」というお話です。
あるとき、6人の盲人たちに象に触れたときの印象を問うたところ、各自の答えはまったく違うものだったそうです。
●耳を触った者は「扇」
●牙を触った者は「槍」
●足を触った者は「壁」
●尻尾を触った者は「ロープ」
そう、誰一人として「象」の全体像を捉えてはいなかったのです。
このとき、誰かが「あなたが触っているのは象だよ」と最初に教えたなら、自分が象のどの部分に触れているのかを判断することができたでしょう。
何かを伝えるときは、部分的に伝えるのではなく、とにかく目的地を明確にして相手に提示することが大切なのです。
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