「話が長い人」が無意識にやらかしている失態 伝わるかどうかは「話す前」に決まっている
とある経営者の方から「仕事上、いろんなところでスピーチを求められるのだが、どうも話がうまく伝わらないし、盛り上がらない。朝会で社員向けにスピーチしている映像を見せるので、アドバイスをくれないか」と相談されたことがあります。
その際に私は、ひとつだけアドバイスをしました。
それは「5分限定でひとつの話題しか話さない」ということです。
映像を見終わったときに感じたことは、まず話が長いこと。毎週、大事件が起きるならいざ知らず、ましてや経営会議でもないわけですから、訓示に20分も必要ないはずです。
伝えたいことをひとつだけ選び、「今日はこれだけを話します」と前置きもすれば、社員の皆さんも「偉い人の話を全部聞かなければならない」というプレッシャーから解放されます。
経営者の目線からすると、つい目標の数字や、市場状況なども話したくなりがちです。ですが、それも伝わらなければ意味はありません。
このルールを実践した結果、社員の皆さんからのウケも良くなり、何より嬉しかったのが「何を話していたのかをしっかり覚えてくれていたこと」だそうです。
言葉を発するときには、「本当に伝えたいことは何か」を意識することがいかに大切かを実感した出来事でした。
「ぼやけた全体像」を捨てる
教育業界の名のある方に、「伝えるコツ」についてお話を伺ったことがあります。
その方は、「話をするときは、まず地図を用意する。そのあとに、どう歩いたかを提示する」と答えていました。
これを私なりに解釈したのが、「全体像の提示→具体の提示」という順番で話すというものです。
最初に大枠で「話の要点」と「聞く人に何をしてほしいのか」を提示しないと、迷子がたくさん生まれてしまいます。
細部から話を始めると、全体像が見えていないため、聞いている側の思考もあっちこっちに飛んでしまうからです。
話をしているうちに自分でも何を伝えたかったのかわからなくなってしまう人は、とくにこの傾向が強いように思います。
では具体的にはどういったことか、ひとつあなたに質問をさせていただきます。
部長すいません。X社から連絡があったのですが、担当のY課長が不在です。そのことで先方が、「発注した商品の到着はいつですか?」とイライラされています。どうすればいいでしょう……。
部長、トラブルのご相談よろしいでしょうか。X社から、発注した商品が届いていないことについて問い合わせが入っています。担当のY課長が不在で、誰も把握していないので、ご対応いただくことは可能でしょうか。
まず、Aの回答から見ていきましょう。状況を説明しているものの、「何をしてほしいのか」という点が欠落しています。
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