宇都宮LRT「マイカーと対立でなく共存」の好事例 人口減・高齢化社会の"足"確保は喫緊の課題だ

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しかしLRTの1km当たりの整備費は47億円で、これだけ見ると高いかもしれないが、宇都宮市内には1km当たり50億円を超える道路がいくつもある。つまり道路にもLRT並みの税金が投入されている。そのうえでマイカーは所有者も多額な出費を強いられているのである。

ゆいの杜地区
ロードサイド型店舗が並ぶゆいの杜地区(筆者撮影)

でも地方都市で、すべての移動を公共交通に任せるのは不安という人が多いだろう。そこで提案したいのは、複数所有の家であれば、それを1台に減らすことだ。1台分のお金をほかに回せるし、実用の部分を公共交通で賄えれば、趣味的な車種を選ぶことも可能になる。

クルマと公共交通は対立関係でない

筆者はフランスのルノーに乗っている。昔に比べたら信頼性は上がったが、日本車に比べればディーラー数は圧倒的に少ない。それでも所有できる理由の1つは、公共交通に移動の多くを賄ってもらっているからだ。おかげで日本車とはひと味違うデザインや走りを満喫できている。

芳賀・高根沢工業団地
LRTの終点、芳賀・高根沢工業団地(筆者撮影)

自動車と公共交通を対立軸に置く人は今でも多いようだが、競争から共存に考えを変えて、状況に合わせて使い分けるというライフスタイルに切り替えれば、移動の世界が広がるというのが、筆者の持論なのである。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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