日本企業がパレスチナ問題で注がれる厳しい視線 日立建機やトヨタ、ソニー、三菱自動車が名指し

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イスラエルとパレスチナ・ガザ地区を支配するハマスの衝突により、双方で一般市民を中心に多数の犠牲者が出ている。とくにガザ地区は、イスラエルによる空爆が続く中、水や食糧が不足する人道危機の状態にある。

ハマスの襲撃が発端だったとはいえ、イスラエルに対しては国際社会から厳しい目が注がれるようになった。とくにガザ地区への空爆は、国際人道法違反とも指摘される。ただ、今回の紛争以前から、さまざまな国際法違反が問題とされてきた。一例がパレスチナでの「分離壁」の建設だ。

パレスチナは現在、イスラエルの占領下で自治を行う状況で、イスラエルに囲まれたガザと、ヨルダンと隣接する「ヨルダン川西岸」に分かれている。この西岸側において、壁は1949年に定められた第1次中東戦争の停戦ラインを超え、パレスチナ側に食い込むように建設された。

パレスチナ人の生活圏は分断され、自由な移動も制限されてきた。2004年に国際司法裁判所は、壁の建設が国際法に違反するとの勧告的意見を出したものの、建設は今も続いている。

国連やNGOが「アパルトヘイト」と批判

ヨルダン川西岸や併合した東エルサレムでは、武力でパレスチナ人の土地や家屋を強制的に奪い、イスラエル人をそこへ移住させる「入植」が続く。これも国際法に違反している。

そのようなイスラエルの行動に、国連やNGOは批判を強めてきた。

国連安全保障理事会は2016年、入植地建設が「国際法上の重大な違反であり、二国家解決の達成に対する重大な障害」とする非難決議を採択。国際NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチは「イスラエル政府はアパルトヘイトと迫害に該当する人道に対する罪を犯している」とする報告書を2021年に発表した。

世界的に近年広まっているのが、企業が直接的・間接的に人権侵害に加担するリスクを見極めて対応する「ビジネスと人権」という考え方だ。この文脈でイスラエルで事業活動を行う企業に注がれる視線も厳しくなっている。

国連人権理事会は、パレスチナの入植活動に直接的・間接的に関わっているとされるグローバル企業のデータベース作成を、国連人権高等弁務官事務所に依頼。2020年に公開されたリストには100社以上の名が挙げられた。そこには入植地での観光を促進しているとの理由から、Airbnbやトリップアドバイザーといった企業までが含まれている。

このような流れの中、投資家も企業の人権リスクに敏感になってきている。

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