世界有数の政府系ファンドの1つであるノルウェーの年金基金は2021年、ヨルダン川西岸の入植活動に関与しているとして、通信・金融分野の企業16社を投資対象から外した。
「日本では投資家を含めて、中東地域の問題への理解が深まっていない。ただミャンマーをめぐっては、現地の状況が明らかになればなるほど、投資家による企業とのエンゲージメントが増えてきた。今後はイスラエルについても同様の動きがあるのではないか」
国内の資産運用会社の投資担当者はそう予想する。2021年に軍事クーデターが起きたミャンマーでは、キリンホールディングスが国軍系企業と提携していた。提携を解消し同国の事業から撤退する動きを投資家も注視した。海外だけでなく日本の投資家にも変化の兆しはある。
日本企業もイスラエル軍や警察に製品提供
イスラエルの軍事的抑圧、入植地の拡大、資源と労働力の搾取を助長し、利益を得ている――。
そのような可能性がある企業を「Who Profits Research Center」という調査団体がデータベースにしている。同団体はBDSの中核と位置づけられ、国連のリストよりも広範に、イスラエルの占領行為に直接的・間接的に加担していると見られる企業を調査している。
ある企業がBDSの対象となる際、とくに重視されるのが、イスラエル軍や警察に製品・サービスを提供していたかという点だ。Who Profits Research Centerのデータベースには日本企業も含まれている。日立建機、トヨタ、ソニー、三菱自動車の4社がリストとして表示される。
東洋経済は、この4社に掲載内容についての確認を行った。
日立建機は、入植地での建設工事や東エルサレムでの家屋解体に同社製品が使われたことを理由にデータベースに含まれている。証拠として、Who Profits Research Centerは、2014年の東エルサレムでの家屋取り壊し現場で撮影されたとする写真をウェブ上に掲載している。
日立建機は、掲載された写真に写っているショベルカーが自社製品であることは認めた。ただ、イスラエルの政府や軍に対して直接の製品提供はしていないと説明する。
イスラエルでは2011年から代理店を通じた販売をしており、「国際的な平和と安全保障を脅かす行為に機器を使用しない」ことを誓約していると強調。そのうえで「他国からの中古市場での流通可能性もある」とした。
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