投開票まで1年「刑事被告人」が最有力大統領候補 アメリカ大統領選挙はどんな結末を迎えるか?
加えて、トランプは2021年1月6日の議事堂襲撃事件に関与したので大統領選への出馬資格を失っているとの指摘があり、訴訟も提起されている。憲法の修正14条3項(合衆国への暴動・反乱に加わった者は官職につくことができない)が根拠だが、保守系の法学者からも「資格なし」との意見表明がなされ、俄然、議論が熱を帯びてきた。
裁判の行方を予測するのは難しい。多くの場合、最高裁まで争われる可能性があり、そうなると判決の確定までに何年もかかるかもしれない。ただ、第1審で陪審評決が有罪となった場合、被告が大統領経験者という歴史的に初めてのことだけにそのインパクトは大きい。
これまで起訴されるたびに、支持率を上げてきたトランプだが、「有罪」評決を受けても、民主党による「政治的迫害」や「魔女狩り」などと言い張り続けることができるかどうか。トランプは2度目の弾劾を受けた際、上院による裁判の結果、「無罪」となったものの、「有罪」賛成票が過半数に達していた事実は重い。
2024年大統領選の3つのシナリオ
では、今後、どのようなシナリオが考えられるのか。集約すれば以下の3つになりそうである。
上記のシナリオ1とシナリオ2を分けるのは、前述のように接戦州の動向である。シナリオ3では、トランプが有罪評決を受け支持者離れが起き、自ら候補を退いてほかの候補を推すことが考えられる。不慮の出来事もこのシナリオに入るであろう。
どの場合も、裁判が延々と続く可能性が強い。シナリオ2の場合、トランプが自らの恩赦に動き、その正当性が裁判で争われることもあるだろう。バイデンが勝った場合でも、2020年選挙のときと同様、不正を巡る裁判が提起され、抗議が暴動に発展する可能性は否定できない。
シナリオ3の場合、トランプが降りる結果、「反トランプ」で結束するはずだった民主党が高齢問題などを理由に「バイデン降ろし」に動くこともありうるだろう。可能性は低いと思われるが、第3の候補が予備選と本選を勝ち抜くケースもないとは言えない。
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