投開票まで1年「刑事被告人」が最有力大統領候補 アメリカ大統領選挙はどんな結末を迎えるか?

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大統領候補の支持率がよく話題になるが、極論すると、それは選挙結果を予測する1つのファクターにすぎない。多くの州で、すでに共和か民主かの色分けはできている。それらの州では支持率の上がり下がりで得票数が変わっても、選挙人獲得数には影響を与えない。むしろ、大事なのは、どちらに転ぶかわからない接戦州(ウィスコンシン、ミシガンなど)の動向である。

2016年の大統領選挙ではトランプがこれらの接戦州を押さえて当選を果たし、2020年大統領選ではバイデンがこれらを取り返して大統領の座を勝ち取った。接戦州における有権者の声を聞き、その心をつかめるかどうかが大統領選の結果を大きく左右すると言っていい。

それは、これらの州におけるキャンペーンなど、戦術面の巧拙も大きくかかわってくる。2016年の大統領選では、劣勢とされたトランプが選挙戦の最終盤で接戦州に足を運んだことが功を奏したというのが大方の評価である。2024年大統領選挙では、トランプ当選の可能性はあると言わざるをえない。

トランプが共和党の予備選を勝ち抜いても、バイデン民主党候補との本選挙では、自身の共和党の反トランプ層が支持しないことも考えられるが、さてどうか。トランプ嫌いでも彼が党の正式候補になれば投票せざるをえないという党員も多かろう。「戦時モード」では人々はリーダーのもとに結集する力が働く。トランプが各方面から攻撃を受ける状況は、共和党にとって「戦時」であろうし、トランプは、そうした状況を意図的に作りだそうとしているようにみえる。

すべて有罪になれば、量刑は700年以上

今後を占ううえでカギになるのが、①各種裁判の行方、②これまでのトランプ流(メディアの露出を増やすことで存在感を高めるなど)の有効性、③支持者の結束──などだろう。この中で一番重要なのが①の裁判の行方である。

とくに、トランプを巡る4つの刑事裁判は展開次第で選挙情勢に大きな影響を与えかねない。列挙すれば以下のようになろう(日付は開始日)。

1. 不倫口止め料を巡るビジネス記録改ざん(NY州マンハッタン地区、2024年3月25日)
2. 機密文書持ち出し(フロリダ連邦地裁、2024年5月20日)
3. 2020年大統領選挙の結果を覆す策謀(ワシントンDC連邦地裁、2024年3月4日)
4. 同(ジョージア州フルトン郡、開始日は未定)

4つの刑事事件の罪状は合わせて91件。あくまで理屈のうえだが、すべてで有罪になれば、量刑は700年以上になるとの試算もある。

民事では、ニューヨーク州でトランプとその家族による金融詐欺を巡る裁判が開始されており、すでに裁判官により詐欺が認定されている。今後は賠償金の額などが決まることになろうが、ビジネス帝国の虚像が暴かれたという意味で、トランプへの打撃は少なくない。

次ページ議論が熱を帯びるトランプ氏の「大統領選への出馬資格」
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