薬剤師が解説「食欲を抑える」養生法・ツボ・漢方薬 「蓄える季節」にこそ試したい東洋医学の知恵

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ゴマやもち米、うるち米、ハチミツ、乳製品など、体を潤すものを組み合わせると、胃が適度に潤い、唾液の分泌が促されます。大根おろしは優れた消化薬ですので、食事と一緒に大さじ2〜3杯食べるのがおすすめです。脂の乗った魚や肉を食べるときにはつけるといいでしょう。

主食は、雑穀を混ぜた米がおすすめです。もちろん食べすぎはよくありませんが、米はパンや麺に比べて咀嚼できる食材です。自律神経の安定に欠かせないホルモンのセロトニンの材料になるトリプトファンのほか、マグネシウム、ビタミンB6、糖質を含みます。

食べすぎた翌日や、胃が疲れていると感じたときは主食をお粥にしてみましょう。

新米や果物は食べ方に注意

注意したいのは、新米です。モチモチした新米は美味しくて食べすぎてしまいがちです。新米は粘りがあるため、胃腸に負担をかける性質があると、古代の薬草の辞典ともいえる『本草綱目』に記載があります。

1〜2年前に収穫した古い米、あるいはモチモチしない品種のもの(ササニシキなど)が理想です。タイ米やバスマティライスもよいでしょう。

果物は、水分が豊富で潤す働きがあるように思えますが、それ以上に冷やす作用が強いので、摂りすぎには注意が必要です。冷蔵庫から出してすぐに食べず、室温に置いてから少量ずつ食べるのがよいでしょう。

また、夜は「陰」の時間帯で冷やす作用が強まりますから、果物は日中に食べるのが理想です。

●よく噛んで食べる

よく噛むことにより、胃の負担が減ります。

また、咀嚼をすると 脳の満腹中枢が刺激され、食べすぎる前に満腹感を得られます。また、唾液にはBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が含まれていて、よく噛むとセロトニンが分泌され、心を安定させる作用もあります。

ゆっくりと噛んで味わい、口の中の食べ物がペースト状になってから飲み込むのがおすすめです。目安は1口30回(できれば50回)以上。噛むたびに数えるのはたいへんですから、はじめの1口だけ回数を数えて、あとはそのイメージで噛んでいくといいかもしれません。

柔らかすぎる食品は噛まずに飲み込めてしまうので、できればしっかり噛める食品を選びましょう。パンや麺類はあまり噛まずに飲み込めてしまうので、常食せず、たまに食べる程度にしておきましょう。

●グルメ番組を見ない

秋は多くの食材が収穫の時期を迎え、美味しそうな食べ物からの視覚的刺激が増えます。

食欲は脳で作られますから、ただでさえ食欲旺盛になる秋にグルメ番組を見るのは火に油を注ぐようなもの。食べたい気持ちにさらに拍車がかかり、食欲が暴発しやすくなります。

同じ理由で、コンビニエンスストアやスーパーの食品売り場に行きすぎるのも要注意です。購買意欲をそそるようなディスプレイを見て、買うつもりのなかった菓子類など買ってしまわないよう、そのようなコーナーには足を踏み入れないくらいの気持ちが必要かもしれません。

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