深海の未確認生物というワードが飛び出すSF要素も加わりながら、異変に気づいて行動を起こしていく研究者役のドイツ、スウェーデン、ベルギー、イギリスなどヨーロッパ拠点の俳優たちによる渋い演技も堪能していると、ふと気づけば、キムタク出演作であることを忘れてしまいそうになります。第2話までは1ミリも登場せず、その後も登場場面が余りにも少ないからです。ただし、ミフネという名の資産家役としての見せ場はしっかり終盤に残されています。
全8話を通じて、ヨーロッパ最大級の水中スタジオで撮影された映像美も見どころとなって、作品に対する評価が高まっています。世界100カ国から1万以上のエンタメ業界人が参加する「MIPCOMカンヌ2023」の期間中、現地時間10月18日夕方に開催されたイギリス最大手のテレビ業界誌TBI(Television Business International)主催の「コンテンツ・イノベーション・アワード」で「Best New Scripted Series=ベスト新作ドラマ」賞を受賞する快挙を果たしたところです。
日テレ傘下Huluジャパンの働き
カンヌでの「THE SWARM」の受賞は、本作が国際間で製作と流通を成立させ、なおかつ市場性のある作品に仕上げたことが評価されています。世界のテレビ市場トレンドの成功例として認められた結果でしょう。
実際に、企画・製作はドイツの老舗配給会社ベータ・フィルムと、同じくドイツの公共放送傘下のZDFスタジオ(旧ZDFエンタープライズ)の2社が設立した新合弁会社インタグリオ・フィルムズが中心となって、投資リスクを抑えて日本を含む各国のパートナー企業から計4000万ユーロ(約63億円)の資金調達計画を立て、国際的なドラマを実現させた経緯があります。具体的な総製作予算は明かされていませんが、日本のドラマ予算規模では考えられないような額の製作費がかけられていることが想像できる数字です。
またドイツの新会社に協力した日本の企業とは、日本テレビグループ傘下のHuluジャパンを指します。つまり、Huluジャパンも国際共同製作の枠組みに入ったため、木村拓哉が海外ドラマに初出演することになったのです。
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