カンヌでは「THE SWARM」を主題にしたケーススタディ・セッションも行われ、登壇したZDFスタジオの国際共同製作ドラマ担当ヴァイスプレジデントのロバート・フランクは、国際的な製作体制を構築する苦労話を語るなかで、「日本のHuluの助けがなければ、『THE SWARM』は完成しなかった」とまで発言していました。偶然か否かわかりませんが、まるで木村拓哉演じるミフネが劇中で救いの手となる描写と重なるようです。
Huluジャパンはドイツのこのチームと再び組み、2024年に世界同時放送&配信される完成したばかりの作品もあります。それが、中島健人にとって海外ドラマ初出演となったドラマ「Concordia」です。
トレンドのAIがキーワードとなる作品で、実験的なユートピアのコミュニティを舞台に監視社会を描く内容です。カンヌでワールドプレミア上映された1話から最高技術責任者役の中島健人がさっそく登場し、ドイツやアイルランドの女優たちが演じる登場人物とともに緊迫した雰囲気の中で英語の長ぜりふを発していました。この作品においても背景にあるHuluジャパンの働きによって、日本人俳優の活躍の場が海外にも広がっているのです。
別の視点から見ると、海外のメディア企業にとってもファン層の厚い日本人俳優を起用することの利点に気づき始めたとも言えます。
これまでは海外ドラマの中でまれにある日本人キャラクターに対して、オーディションで勝ち取った役者だけが出演する場合がほとんど。たとえば、先の木村拓哉のドラマで木村の部下役として出演している平岳大はそんな実力主義の中で海外でも認められている役者の1人です。
大物プロデューサーも太鼓判、山下智久と福士蒼汰
ただ、それだけでは狭き門のままだったわけですが、日本市場でファンから支持を集めているという実力を武器に海外進出することがあってもよさそうです。人気があれば誰でもいいわけではありませんが、製作の段階から日本が入ることで日本側が日本の俳優を配役でき、結果的に役者の潜在能力を早い段階から引き出すことにつながるからです。
Huluオリジナルにはほかにもフランスとアメリカとともに作られた日本の漫画原作の「神の雫/Drops of God」に、スペインほか10カ国以上の俳優が出演する「THE HEADシーズン1/シーズン2」があり、「神の雫」と「THE HEAD」シーズン1は山下智久が、「THE HEAD」シーズン2では福士蒼汰が出演し、それぞれ海外ドラマデビュー作となっています。
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