不登校経験者の運転士たちが立ち上げた学び場 「僕たち自身、好きな鉄道に救われて元気になれた」
うれしかったのは、小田急ファンの方や、小田急の沿線に住んでいる方から応援コメントがたくさん来たことです。というのも、不登校の当事者や支援者は、もともと不登校に注目しているわけですよね。僕たちは、不登校がこれだけ増えているということ、そして学校以外にも居場所は見つけられるんだということを、これまで不登校に注目してこなかった方々にも知っていただきたかったんです。
だから、「小田急」というキーワードからクラウドファンディングを見つけて、不登校問題に初めて触れて、応援しようと思ってくれた方がたくさんいたことは本当にうれしかったですね。自分たちの影響力をどのように使うべきなのかということは、僕たちが一番に考えなければならないことだと思っています。
自分のために環境を変えていくのは、ふつうのこと
――最後に、今不登校で悩んでる子どもたちへメッセージをお願いします。
日々、仕事をしていると、「自分も不登校だった」という人に出会うことがよくあります。こんなにいるんだなと、あらためて痛感するほどです。そうは言っても、これを読んでいる子どもたちのなかには、社会に出ることに不安や恐怖を感じている子もたくさんいることでしょう。その気持ちは、よくわかります。「社会に出る」というと、すごく大きな世界に出ていくような感じがしますよね。
一足先に社会に出た僕に言えるのは、「社会」というのは小さな組織の集まりにすぎないということ。自分にとって安心できる組織が1つでも見つかれば、そこを寄りどころにしながらやっていけると思うんです。
そもそも不登校って、学校とか友だちがちょっと合わなかっただけのことですよね。大人だって、会社が合わないと思えば転職するのがあたりまえ。大人の転職はオッケーなのに、どうして子どもが学校へ行きたがらないと問題になるのでしょう。自分のために環境を変えていくというのは、ふつうのことですよね。
僕は10代のころ、世界のことが全部わかったような気持ちになることがありました。でも、大人になってみると、知らないことがたくさんあることにおどろかされるし、新しい世界は次から次へと開けていきます。だから、今いる場所が苦しいと思っている子どもたちには、この先、広い世界が待っているよ、ということを伝えたい。その広い世界は温かいし、助けてくれる人もたくさんいるし、今あなたが想像しているよりもずっと優しいものです。だから、大丈夫。なんとかなりますよ。
――ありがとうございました。
(聞き手・棚澤明子)
(校名は「Alternative school」、「Odakyu」、「interest」の頭文字から)
期 間:2023年9月~2024年8月(その後、継続開校の可能性もあり)
料 金:1コース(週1回3時間)8,000円/月
開校日:毎週 火・木曜 10:00~13:00、14:00~17:00
人 数:1コースあたり定員20名
詳 細:https://aoi-school-odakyu.hp.peraichi.com/
不登校新聞の関連記事
「世の中にはいろんな道がある」2度の中退経験がある児童文学作家・こまつあやこさんが10代の子どもに伝えたいこと
「不登校は甘え」ではありません 子どもたちはサバイバーです
「いじめがきっかけで不登校に 学校と生徒で「認知差85倍」の理由
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら