中国金属大手、チリに電池正極材工場建設の狙い 青山控股集団、リチウム素材を優遇価格で調達

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リチウム資源の優遇価格での供給は、チリ政府が2022年8月から始めた外資誘致政策の一環だ。それと引き換えに、チリ政府は国内に(外国の電池メーカーによる)車載電池関連の工場建設を求めている。

世界最大級のリチウム産出国のチリは、優遇政策を講じて電池工場の誘致を図っている(写真はチリのリチウム生産大手SQMのウェブサイトより)

中国のEV(電気自動車)最大手の比亜迪(BYD)は、青山控股集団に先んじてこの優遇政策の適用を受けた。BYDはチリに2億9000万ドル(約434億円)超を投じてリン酸鉄リチウムの正極材料工場を建設し、その見返りに年間1万2500トンの電池用炭酸リチウムの供給を2030年まで優遇価格で受けることになっている。

チリとFTA結ぶアメリカに輸出

車載電池工場の建設地としてのチリの強みは、リチウム資源の豊富さだけではない。チリはアメリカとFTA(自由貿易協定)を結んでおり、電池材料をチリで生産してアメリカに輸出すれば、アメリカの「インフレ抑制法」に基づく優遇措置の対象になる。

2022年8月に成立したインフレ抑制法には、アメリカの消費者が条件に適合したEV(電気自動車)やPHV(プラグイン式ハイブリッド車)を購入する場合に、1台当たり最大7500ドル(約112万円)の税額控除が受けられる優遇措置が盛り込まれた。

本記事は「財新」の提供記事です

車載電池に関しては、材料となる(リチウムなどの)重要鉱物の40%以上をアメリカ国内またはアメリカとFTAを締結した国で生産することが条件だ。これを満たせば、1台当たり3750ドル(約56万円)の税額控除が適用される。

(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は10月17日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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