「賛否両論」笠原さん、妻亡き後も歩む切り盛り人生 店の経営、3人の子の育児、そしてYouTubeも
笠原さん自身も高校1年のときに母親を亡くし、父親がお弁当を作ってくれた。
「夜遅くまで仕事をしている親父が早起きして作ってくれるのが申し訳なくて、途中でお弁当作りを断っちゃったの。短い期間だったけど、親父のお弁当はめっぽうおいしかった」
長男は高校を卒業し、地方の大学に進学。家を出て1人で暮らすようになった。長女も社会人、次女は大学4年と、長い子育てもようやく一段落した。
修業時代に出会い、お酒好きで意気投合
江理香さんとの出会いは正月屋吉兆で働いていた修業時代。沖縄から上京し、ホールで働いていた江理香さんと仕事帰りに一緒の電車になることもあり、そのうち世間話をするように。聞いてみると同じ年、しかもお酒好きという共通点も見つかる。
「今度飲みに行こうよ」
誘いあうようになり、4年ほど付き合って結婚。3人の子宝に恵まれた。笠原さんが父親の跡を継いだ焼き鳥店『とり将』も大繁盛店となり、その後開店した恵比寿の日本料理店『賛否両論』も客足が途絶えなかった。
多忙な日々を送っていたある日、江理香さんが自身の身体の異変に気づく。それまで病気ひとつしたことがない健康体。忙しいと自分のことを後回しにするのは誰でもよくあることで、健康診断などもまともに受けていなかった。
「ちょっと気になることがあるから病院行こうかな……」と不安げに打ち明ける江理香さんに対し、詳しくは聞かなかったが「絶対に行ったほうがいい」と笠原さんも強くすすめたという。