「賛否両論」笠原さん、妻亡き後も歩む切り盛り人生 店の経営、3人の子の育児、そしてYouTubeも
待望の名古屋店の開店を見届けることなく、江理香さんの命は尽きた。闘病生活は2年ほど、享年39。
夫人が亡くなってから初めて迎えた笠原さんの誕生日、デパートから腕時計の完成を告げる電話がかかってきた。
それは江理香さんからのサプライズプレゼントだった。その昔「カッコいいなぁ。いつかこんな時計してみたいよなぁ」と笠原さんが語っていた憧れの時計。型番までしっかりと覚えて、夫に内緒でプレゼントしようと生前、予約を入れていたのだ。
妻からもらった宝物
「腕時計は僕の宝物です。何度も修理に出したり、ベルトを交換したりメンテナンスをしながら今も大事に使っています。一生使い続けます」
幼かった子どもたちもすっかり大きくなった。
「小さいころはケンカばっかりしていたけれど、今は家族のグループラインで近況報告したり仲良くやっています。
離れて暮らす長男も自炊しているようで、もやしを炒めただけの彩りも何もない料理の写真を上げてきたり(笑)。僕も休みの前には、ごはんに誘ったりしてます」
子どもたちは皆、飲食関係の仕事には関心が薄く、社会人の長女は他業種に就いた。就職活動真っただ中の次女も別の道を目指しているという。
「ヒーヒー言いながらやってるけど、自力で頑張ろうとしてるし、親の僕ができることなんてないですからね」
娘さんたちが小さいころ、バレンタインのチョコを作るときには「手伝うつもりがついつい最後まで仕上げてしまった」という笠原さんだが、今は手を貸さず見守り役に徹している。
今後やりたいことを聞くと、
「落ち着いたら休みをもらって、47都道府県巡りをしたいですね。その地方にしかない郷土料理もたくさんあるし、全国には腕利きの職人がいくらでもいますからね!
漬物上手のおばあちゃんだとか川魚料理の名人とか。そこで修業させてもらえるとうれしいなぁ。仕事終わりに地元の温泉に入ってビール呑んで、せっかくだからエッセイも書かせてもらったり……そんな生活、最高ですね」
笠原さんの夢は膨らむが、
「問題はただ1つ。いつ休みをとるか……(笑)」