企業側からみれば、LTV(ライフタイムバリュー)の最大化、消費者側からみれば、自分のことをわかってくれている代理人、コンシェルジュの獲得ということになるわけだ。そうして企業はDXによる売上拡大を実現するのである。
中学・高校受験塾のビジネスモデルをDXで進化させる
具体例で考えていこう。SAPIXや早稲田アカデミー、浜学園のような中学受験塾や高校受験塾は、DXで今後どのようにビジネスモデルを進化させていったらよいのだろうか。ここから述べるのは、あくまでも構想上の「お話」だ。「こうやって考えていけばよいんだな」と、読み物として読んでイメージしてほしい。
中学受験塾、高校受験塾の現在のビジネスモデルは、以下のとおりである。
各塾が、きめ細かい指導で、それぞれ素晴らしい業績を上げているが、これはクラス別、マーケティングの視点で言い換えると、セグメント別の集団指導となる。これが、DXでビジネスモデルを進化させると、SAPIXや早稲田アカデミーでも個別指導が可能になる。では、どうやって、個別指導が可能になるのだろうか。
塾では、単元ごとに確認テストや定期的に模試がある。この「確認テストデータ」や「模試データ」が「消費者行動データ」となる。この単元習熟度データを基にして、習熟度が低いとこの教材、習熟度が高いとこの教材と、塾側から教材が指定される。ここで言う教材とは「動画教材」だ。各単元の習熟度、理解度に応じて、同じ単元でいろいろなレベルの「動画教材」が提供されることになる。
「動画教材」自体は珍しいものではなく、スタディサプリや東進ハイスクール、河合塾マナビスなどで提供されている。
しかし、今の自分の習熟度だとどの教材を使用すべきかは、基本的に受験生自身や保護者が判断する。一部、アドバイザーが指導してくれる場合もあるが「勘と経験」に頼っている場合も多い。これをデジタルテクノロジーで過去の膨大なデータから分析し、受験生一人ひとりの習熟度に応じた教材を提案、指定するのである。
そして、確認テストも習熟度に応じた、一人ひとりにカスタマイズされた自動生成テストになる。受験生一人ひとりの習熟度を丁寧に測るわけだ。また、受験までの残り時間を考えながら、アプリが「まだこの単元の習熟度が低いからもう一度やろう」とか「残り時間が少ないので、この単元はあきらめて次にいこう」と膨大な過去データを参照し、提案してくれる。正に、その受験生にとって、受験生以上に受験生のことを理解してくれている唯一無二のアドバイザーになるのである。
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