圧倒的なコスト競争力「中国EV」急進化の秘密 政府資金を燃料にイノベーション街道を爆走

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これに対し、フォード・モーターが発表している同社労働者の年収(給与・手当)は平均11万ドルだ。さらにUAWは、4年で40%の賃上げプラス週ごとの有給休暇を要求している。

NIOの新しい電動モーター工場を見れば分かるように、中国の自動車製造は現在、世界で最も自動化が進んでいる。アメリカの自動車メーカーは、産業用ロボットなどのオートメーション設備を中国のサプライヤーから購入しなければならないことに気づきつつある、とサンディエゴの自動車アナリストで中国を専門とするマイケル・ダン氏は話す。

「アメリカの自動車メーカーは周囲を見回し、アメリカのオートメーション能力の中で中国に近いレベルのものはあるかと自問しているが、答えはノーだ」と、ゼネラル・モーターズ(GM)でインドネシア現地法人の社長だったダン氏は言う。

激烈競争の中、爆速で進化する中国メーカー

金融大手UBSのアジア自動車リサーチ部門の責任者ポール・ゴン氏は、世界の自動車市場における中国自動車メーカーの占有率は、2030年までに3分の1に拡大すると予測する。その大部分は、ヨーロッパ市場によるもので、同地における中国メーカーのシェアは、現在の3%から20%に跳ね上がる見通しだ。

「中国では競争が熾烈なため、それがどのメーカーにとっても新技術開発のプレッシャーになっている」と同氏は言う。

中国のEV企業のすべてが損失を出しているわけではない。中国と世界でトップクラスのEVメーカーとなっているBYDの今年上半期の利益は前年同期比3倍の15億ドルに達した。自社でバッテリーを製造するBYDは、高い生産効率を誇る。

UBSのリサーチ部門がエンジニアリング会社と協力してBYDのEV「SEAL(シール)」を分解したところ、SEALのハッチバックセダンの製造コストは、同じクオリティでやや小型のフォルクスワーゲン「ID.3」のそれを少なくとも35%下回ることが判明した。

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