圧倒的なコスト競争力「中国EV」急進化の秘密 政府資金を燃料にイノベーション街道を爆走
ヨーロッパの政治家たちは中国からの輸出急増を憂慮し、10月4日、中国のEVメーカーに対する政府補助金の有無に関する調査を正式に開始した。結果によってはヨーロッパが関税を導入する可能性もある。
中国のEV輸出は過去3年間で851%の伸びを示したが、この伸びの大部分はヨーロッパ各国への輸出によるものだ。ヨーロッパ連合(EU)の調査は地政学的に微妙な問題をはらんでいる。ヨーロッパの最有力企業の多くは中国市場とつながっており、中国はいつでも報復できるからだ。
中国商務省は「グローバルな自動車産業のサプライチェーンを大きく混乱させ歪める、あからさまに保護主義的な行動」だとして、同調査を非難した。
欧米の各メーカーは中国に追いつこうと懸命に努力しているものの、中国の自動車メーカーはEVサプライチェーンで決定的に重要なバッテリー技術で世界をリードしている。
圧倒的な自動化、圧倒的に低い人件費
中国メーカーは、かなりの低コストで長距離走行を実現する新しいバッテリー技術のパイオニアだ。中国は電動モーターの生産でも、バッテリーとモーターをつなぐ高効率システムの設計でも優位に立っている。
EVの販売は急速に伸びているが、中国はその伸びを上回る速度で、ほぼすべてのEV部品の製造工場を建設。その結果、生産能力が過剰になり、EVの価格はガソリン車の価格を下回るようになっている。
中国では賃金も低い傾向にある。上海のような大都市の自動車工場労働者の給与は手当込みで年間約3万ドルだが、内陸部の物価の安い都市で働く労働者の給与はもっと低い。