今のやり方を続けると、ワタミの浮上はない 「大量閉鎖85店上乗せ」を招いた真因

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安さという観点で見ても、中途半端感が否めない。単純に同じ土俵では比べられないものの、たとえば1人2200円弱を払えば、ファミリーレストランや立ち飲み店などでは、もうちょっと飲み食いできる。

実際に業績面では、ワタミの“独り負け”が際立つ。居酒屋業態が全体的に苦戦する中でも「特色のある」チェーンは人気。たとえば280円均一の焼き鳥店「鳥貴族」を展開する鳥貴族、「礒丸水産」などを展開するSFPダイニング、コンセプトレストランを展開するダイヤモンドダイニング、「塚田農場」のエー・ピーカンパニーなどだ。特色のあるメニューや空間コンセプトを打ち出して、顧客から支持を得ており、ワタミの居酒屋事業が赤字の中で、これらの企業は逆に業績を伸ばしている。

「過労自殺」問題も痛手に

ワタミにとって「過労自殺」問題も業績不振と無関係ではない。自殺した元社員の両親が損害賠償を求めてワタミを提訴。これをきっかけにワタミのブランドイメージが低下した。客足だけでなく、人手不足が指摘される状況下で正社員、アルバイトに関わらず人材確保にも良い影響のはずがない。既存従業員の負担が増してしまうことなども含めて、店舗のサービスレベル低下にも直結する問題となっているようだ。

これとは別にも、ワタミを訪れた一部のお客には不信感を持たれている。筆者が頼んだ5品の料理のうち、17品目のサラダや国産鶏の串焼き盛り合わせはメニューの写真に近い実物が出てきたが、「びんちょうブツ」(刺し身)はメニュー写真の赤身とは明らかに違ってかなり薄いピンクの刺し身が出てきた。

別紙になっていた季節メニューの中から、ど真ん中に写真入りで乗っていた「鰹おろし」は、さらに違いが歴然だった。

鰹のたたきの枚数や形状、また使われているお皿こそメニュー写真に近かったがが、写真では敷き詰められている青ネギの量が、実際は3分の1あるかどうかで、ちょろちょろっと乗っているだけだった。

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上写真のメニューに対して明らかにネギが少ない。味は普通だったが、ふんだんのネギを期待していただけに…

ひょっとすると、今回訪れた店のオペレーションの問題という可能性もあるが、490円という価格を考えると、これが限界なのかもしれない。

インターネット上には「ワタミは実際の料理とメニュー写真が違うことがある」という指摘をしている書き込みを見かけることがある。実際に見るまでは「大げさではないか」と思っていたものの、一部は事実だということが実際の体験でわかった。期待して頼んだお客の立場では、残念な気持ちになることも理解できた。

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