今のやり方を続けると、ワタミの浮上はない

「大量閉鎖85店上乗せ」を招いた真因

不振の原因は一つではなく、複合的だ。たとえば顧客の嗜好の変化。デフレが長らく続いていた状況では居酒屋にもとにかく「安さ」が求められたが、東日本大震災やアベノミクス以降は外食に付加価値を求めるニーズが高まり、消費が二極化。情報化の進展に伴って、顧客の趣味・志向も多様化していっている。

ここでワタミのポジションは宙ぶらりんになってしまった。現場から眺めると実は分かりやすい。順を追って説明していこう。

筆者が10年ぶりに来店した和民で、東洋経済オンラインの編集担当者と2人で頼んだのは「17品目のサラダ」や「国産鶏の串焼き盛り合わせ」など料理5品とドリンク2杯。会計は締めて1人2200円弱だった。

和民のメニューを開けば、「刺し身」「揚げ物」「焼き物」「サラダ」「ご飯・麺」「ピザ」「デザート」などの料理、またお酒も一通りそろっている。1品当たりの価格も290〜590円がメインで、一見すると手頃感がある。価格帯は違うものの同系列のわたみん家、坐・和民などもラインナップは同じようなテイストだ。

どれも平均的でボリュームも価格相応

ところが、これが今の時代には色褪せて見えてしまう。かつて総合居酒屋が流行していた頃は、1つのお店で何でも揃っていることが魅力だったものの、現在はこのようなお店は珍しくない。「あのお店であの料理が食べたい」といった、特徴あるメニューを展開しているお店が人気となっている。

とある外食企業経営者は「メニューの原価率は30%以下が基本だが、全てのメニューをこのルール内で作ると面白くない。中には原価率が100%に近いメニューも組み込む事で、その料理がお客に感動を与えたり、次回の来店動機へ繋がったりする」と話す。ワタミのメニューはどれも平均的。味もボリュームも価格に相応している。それが総合居酒屋たるゆえんなのだが、逆に特徴を失くして面白みを欠いてしまっている。

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