中国の畜産大手が「3000億円規模」上場断念の背景 正大投資、景気減速による豚肉価格低迷が響く

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前述の目論見書によれば、正大投資の2021年の業績は売上高が464億5800万元(約9513億円)、純利益が5億500万元(約103億円)だった。同社の飼料生産量は同業の上場会社との比較で中国3位、豚の出荷頭数でも業界のトップ5に入っている。

中国国内の豚肉価格は直近のピークの半値近くに落ち込んでいる。写真は正大投資の子会社の養豚場(同社ウェブサイトより)

財新記者の取材に対し、正大投資は上場申請取り下げの具体的な理由についてコメントを避けた。業界関係者の間では、上場断念の背景には最近の豚肉価格の低迷があるとの見方が一般的だ。

9月以降だけで32社が上場断念

市場調査会社の卓創資訊のデータによれば、中国国内の豚肉の平均価格(生きた豚の出荷ベース)は2022年1〜3月期の時点で1キログラム当たり11.70元(約240円)だったが、同年10月には2倍以上の同26元(約532円)超に高騰した。

ところが、2022年10〜12月期に入ると需給バランスが崩れ、価格は下落に転じた。2023年に入ってからも冴えない値動きが続き、6月末時点の平均価格は13.74元(約281円)とピークの半値近くに落ち込んでいる。

本記事は「財新」の提供記事です

中国の国内景気の減速を受け、このところ上場申請を自ら取り下げる企業が相次いでいる。その数は9月以降だけで32社に上り、正大投資のほかにも鶏肉料理チェーンの徳州扒鶏、中国茶の製茶・小売りの八馬茶業、加工食品の鮮美来食品など、食品および飲食関連の企業が目立つ。

(財新記者:祝宇歓、孫嫣然)
※原文の配信は10月11日

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