翁長沖縄県知事が人々を熱狂させるワケ 安倍政権が"カリスマ"を生み出した

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名護市在住の芥川賞作家、目取真(めどるま)俊さんは連日、カヌーで辺野古沿岸の工事水域にこぎ出し、抗議行動に参加している。目取真さんによると、海上保安庁の対応は厳しくなる一方で、「ライフジャケットの襟をつかんで海に頭を突っ込んだり、カヌーをわざと転覆させたりと、荒っぽい取り締まりが続いて、けが人も増えています」

沖縄側は「まずは中断して、話し合いを」と求める。しかし、話し合いは「工事中止のため」だと分かっている安倍政権は、夏までに本体着工を行うとの考えを崩していない。

本土と沖縄の分厚い「心」の壁

沖縄戦が事実上終結した「慰霊の日」の6月23日や、埋め立て承認の取り消しを視野に入れた第三者検証委員会の最終報告が出る7月に向けて、今後も沖縄はボルテージを上げていくだろう。着工へ突き進んで、沖縄をさらに過激な道へ追い込んでいいのか、と危惧する人は、永田町や霞が関でも少なくはない。

翁長氏は、20日の日本記者クラブでの会見冒頭、琉球語と日本語の両方を使い、虐げられた沖縄の歴史を読み上げた。この日、おそらく翁長知事にとって、最も気持ちを込めたメッセージであったに違いなかった。

会見後、在京テレビ局の記者が、撮影スタッフと交わす会話が聞こえた。「あの最初の変なよくわからない現地語は、知事の趣味の部分だから、全カットな」

翁長氏が突破すべき壁は、いくつもある。だが、そのなかでも最も難しいのは、本土と沖縄との間に横たわる、分厚い「心」の壁に違いない。

(AERA編集部:野嶋剛)

※AERA 2015年6月1日号

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