発売日に20億売れた「名酒風味の珈琲」人気のワケ 田中角栄も飲んだ「茅台」の若者取り組む戦略

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業績、株価は好調を維持している。だが、2021年夏にトップに就任した丁雄軍会長は、習主席の倹約令を機に、企業幹部や高級官僚の消費に頼っていては先がないと考え始めたようだ。

マオタイ ラッキンコーヒー
度重なる逆風を経験した茅台(写真:貴州茅台酒公式ホームページより)

中国EC最大手「アリババグループ」の創業者ジャック・マー氏に「若者が茅台を飲まない」とこぼし、「自分も若いときは飲まなかった。茅台は人生経験を積んで味がわかるようになる酒だ」と激励されたとの話も伝わる。

丁会長の懸念通り、中国では若者の白酒離れが進んでいる。
戦略コンサルのRies Strategy Positioning Consultingが2022年12月に発表した「中国の若者と酒」に関するレポートによると、アルコール度数30度以上の酒を好む中国の若者は11.2%にとどまり、「好きな酒」で白酒はワイン、果実酒、ウイスキー、ビールを下回った。

中国EC大手の広報担当者は消費者の変化について、「十数年前までは中国人にとって酒の選択肢はビールと白酒しかなかった。だが、中国市場に出回るアルコール商品が多様化したことや、コロナ禍のステイホームで宴席が減ったことと部屋飲みが増えたこと、女性消費者の台頭などで、果実酒など低アルコール飲料がトレンドとなり、白酒の存在感が薄れた」と分析した。

茅台はアイスクリームも発売

茅台の主力商品のアルコール度数は53度。若者の購入者も多いが、「転売目当てがほとんど」との指摘もある。現状をよしとしなかった丁会長は会長就任以降、Z世代に照準を合わせた施策を次々に打ち始めた。

まず2022年5月に大手乳製品メーカー「蒙牛」と組んで、「茅台アイスクリーム」を発売。1カップ59~66元(約1100~約1300円)の価格にもかかわらず、店舗には行列ができた。茅台によると発売1年で1000万個近くが売れたという。同年はECアプリ「i茅台」も開設し、茅台アイスをECで購入できる体制も整えた。

ただ、アイスは季節商品であり、1000円を超える単価だとSNSで写真や動画をシェアするために購入しても、リピーターにはなりづらい。コーヒーチェーンのluckinとコラボしたのは、若者の日常生活によりとけ込んでいるコーヒーのほうが消費の持続性があり、マーケティング効果が大きいと判断したとみられる。

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