ただ一方で、1996年に埼京線が渋谷まで延伸開業された際に設けられた「新南口」は、各線の乗り場からは大きく離れてしまった。埼京線ホーム移設の際に廃止される話もあったようだが、JR東日本ホテルメッツ渋谷の入り口に直結していることもあって、旧ホームを通路に使うようにして存続している。
元から利用が少なかったと思われる新南口ではあるが、繁華街からは離れており、主な乗降客は周囲に集まってきたオフィスビルへの通勤客、ビジネス客であったようだ。それゆえに存続する意味はあった。確かに、東口などからこの方面へ向かうには、改札口を出てしまうと地下道や歩道橋などを経由して遠回りになる。それならば旧ホームを通ったほうが早く、わかりやすい。
渋谷川に沿って街は南へ
埼京線ホームを移設するに当たっては、地上にあった東急東横線の駅を地下化してスペースを捻出し、同時に東京メトロ副都心線と相互直通運転を実施。新宿や池袋方面まで列車が直通になるとの、一石二鳥の策がとられた。渋谷川に沿った高架構造であった東横線の線路は、山手線などをくぐる地点まで地下を走るように改められている。
もちろん線路跡地は、都心の超一等地だ。複合商業施設「渋谷ストリーム」が建設、開業しているほか、河畔は並木橋までの間、遊歩道「渋谷リバーストリート」が整備され、新南口方面への回遊ルートが形成された。
この道のところどころには、かつての鉄道をしのばせるモニュメントが置かれている。並木橋でJRの線路を渡ると、すでに代官山エリアだ。若者の街であるハチ公口方面とはまた違った、大人の雰囲気がある街への成長が期待される。
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