「忍者ヒグマ」駆除でも終わらない北海道民の恐怖 札幌の住宅街で人身事故、観光客も要注意

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実際、最近のヒグマのシカ捕食に関する研究報告(※2)では、知床半島の2地点(知床岬/ルシャ地区)でヒグマのフンの調査を行った結果、それぞれ3.7%、11.0%の割合でシカが含まれていた。この結果から、ルシャ地区に生息するヒグマは知床岬のヒグマに比べ

高頻度でシカ新生子を捕食している可能性が示唆された。

と述べている。

これらの研究結果を併せ考えると、すべてではないが一部のヒグマは増殖したエゾシカをエサとしていて、その子どもの生存率が高く、ヒグマの個体数増加に結び付いたのではないか。そんな仮説が成り立つかもしれないのである。

では、ヒグマによる被害を抑えるためにどんな対策が必要となってくるのか。注目点は、北海道がこの春から市街地近くでのヒグマ出没を抑えることを目的として、「春期管理捕獲」を開始したことだ。

市街地から概ね3~5キロメートル以内のエリアに限り捕獲数の上限も定めた。今シーズンは27市町村から申請があり、全部で20頭を駆除した。もっとも多かったのは近年、目撃情報が多く住民を不安に陥れていた道南の村で9頭だった。同村はハンターの育成に力を入れているという。

この「春期管理捕獲」は先の「北海道ヒグマ管理計画(第2期)」に基づく対策である。同計画では今後の個体数管理について「数の調整に関する事項」の中で、「問題個体を特定して排除することで、総個体数を維持しつつ(人との)あつれきの抑制を排除できることから、現時点においては問題個体の排除に向けた管理を進めていく」としている。

より踏み込んだ対策も

ただし、最近の市街地などへのヒグマ出没件数の増加などの状況変化を踏まえ、第2期計画では一段と踏み込んだ表現も見られる。

最新の生息状況等の科学的データを精査し、専門家の意見等を十分に踏まえつつ、個体数調整の可能性やあり方などについての検討を早期に開始する。

と、個体数調整の可能性に言及しているのだ。

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