「忍者ヒグマ」駆除でも終わらない北海道民の恐怖 札幌の住宅街で人身事故、観光客も要注意
釧路湿原を見渡せる展望台の周囲にある散策路にも「ヒグマ出没注意」の立て看板。草木が生い茂り、いかにも潜んでいそうな場所だ。近くには目撃情報の日時、場所を記した表示板もあった。別の場所にあるビジターセンターの売店で「このあたりもヒグマ出ますよね」と確認すると「私は会ったことはないけど、出ないとは言えません」と正直な反応が。
知床をはじめ観光地の周辺の道路を歩き回るクマの姿も確認されている。いつ何時遭遇してもおかしくない。山歩きや釣りといったアウトドアはもちろんのこと、観光を楽しむ際にも常にヒグマへの警戒を怠ってはいけないということだ。
北海道内のヒグマ頭数は30年で倍増
最近は札幌のような大都会でも頻繁に目撃されるようになったヒグマ。道内にはいったいどれぐらいの個体が生息しているのだろうか。道の「北海道ヒグマ管理計画(第2期=2022年4月1日から2027年3月31日)」によると、全道の推定生息数は1990年度が5200頭(中央値、以下同じ)、2014年度が1万0500頭、そして2020年度は1万1700頭となっている。30年間で倍増したとみられ、引き続き個体数は増加傾向にあるという。
ヒグマが急増した背景として指摘されるのが春グマ駆除の廃止だ。北海道では1962年の十勝岳噴火による降灰の影響などで、ヒグマによる人や家畜、農作物に対する被害が激増した。そのため1966年から個体数を抑えるために、冬眠があけたクマを狙う「春グマ駆除」を開始した。
春は残雪期で足跡をたどれるうえ、藪が茂る前で見通しも良く、最も捕獲しやすい時期だ。春グマ駆除を続けた結果、ヒグマによる被害が大幅に減った。
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